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スターの受難 エド・シーランのライブ開催のカギは木と鳥

2018年07月04日(水)17時30分
モーゲンスタン陽子

環境問題遭遇はこれで2度目

シーランのデュッセルドルフのコンサートは、実は5月に近郊のエッセン市の空港で行われる予定だったものだ。ところが、会場付近で絶滅の恐れのあるヒバリの一種がちょうど営巣していることが判明。ドイツの自然保護連盟 NABUによると、空港近辺の草地で8~9組のつがいが繁殖中であり、コンサートの騒音の危険性が指摘された。このとき、地元の別の環境団体が最初、鳥よりもコンサートを優先させる趣旨の発言をしたために、シーラン側は激しい非難に巻き込まれることに。NABUは「純粋な経済的理由のために」絶滅の危機に瀕する鳥たちを怯えさせるべきではないとしている。

さらに追い討ちをかけるように、エッセンの空港近辺で、第二次世界大戦中のものとみられる103の不発弾が発見される。次々と登場する無理難題に、主催者が会場をデュッセルドルフのメッセ会場の駐車場に変更したところだった。

デュッセルドルフのローカル紙ライニッシェ・ポストによると、主催者のFKPスコーピオ社は今回のデュッセルドルフ市の決定に落胆しているようだ。また、同社は、今回の同市の決定は誤った情報に基づき、「政治的な動機」によるものだと非難している。

現在のところ、コンサートはデュッセルドルフから約56キロ離れたゲルゼンキルヒェンという町で、同じ日程で行われることになっている。また、主催者はコンサート日程を増やすことも検討しているという。振替コンサートを希望しないチケット購入者は返金してもらえるようだ。

ドイツでも、若者を中心に絶大な人気を誇るシンガーソングライターのエド・シーラン。オープンエアコンサートはヨーロッパの夏の風物詩だが、環境に配慮するならば、やはり既存のコンサートホールを活用するのが一番いいのかもしれない。

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