最新記事

アメリカ政治

オバマ弾劾にこだわるアメリカの右派

保守の政策課題の実現を後回しにしても、オバマの歴史的評価を下げたいという理不尽な欲求

2014年11月26日(水)15時52分
ジャメル・ブイエ

最高権力者 執務室から追い出されないまでも、不名誉な脚注付きで歴史に残る可能性はある Jonathan Ernst-Reuters

 上院でも多数派になった今、民主党の一部も巻き込んでどんどん法案を通そう──共和党のミッチ・マコネル上院院内総務はそう考えているだろう。だが共和党を支持した有権者が求めているのはそんなことではない。

 ピュー・リサーチセンターが共和党員と支持者を対象に中間選挙後に実施した調査では、共和党はさらに保守色を強めるべきだと答えた人が57%。より穏健な路線に舵を切るべきだと答えた人は39%にすぎなかった。

 一般の共和党員は議会が機能するかどうかには関心がない。法案の成立を後回しにしてでも、オバマ大統領と「対決」してほしいと答えた党員は66%に上った。共和党が上下両院を制した今、彼らが望むのは数の力でオバマを倒すことだ。

 中間選挙であぶり出された反オバマの民意の高まり。下院民主党でナンバー3の地位にあるジェームズ・クライバーンはこの状況をにらんで衝撃的な予測をする。「(共和党は)何らかの理由を見つけて、大統領弾劾決議案を出すだろう」
クライバーンによれば、共和党支持者の望みは「オバマの名前が脚注付きで歴史に残る」ことだ。「罷免できなくてもいいから、オバマを任期中に訴追された史上3番目の大統領にする。それが彼らの計画だ」

 もっとも、共和党指導部の視野に弾劾は入っていないようだ。ジョン・ベイナー下院議長は7月末の記者会見で、「大統領弾劾の計画は今も今後もいっさいない」と明言。中間選挙の直前にも広報担当が重ねてこう断言した。「ベイナーは弾劾の可能性を選択肢から外した。その姿勢は変わっていない」

 右派で鳴らすポール・ライアン下院予算委員長もオバマの行動は弾劾要件の「重大な犯罪にも軽罪にも当たらない」と言い切っている。弾劾手続きに入れば重要な役割を担うはずのボブ・グッドラット下院司法委員長や、共和党の大統領候補の1人と目されるランド・ポール上院議員も同様の立場だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ボーイング、「737」生産ライン今夏に追加へ

ビジネス

中国1月CPIは0.2%上昇、PPIは下落率縮小

ビジネス

米アルファベット、ポンド建て100年債発行 IT業

ワールド

米ミネソタ州知事、トランプ政権の移民取り締まり「数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中