最新記事

中間選挙

共和党が上院も握ればオバマは死に体に

オバマ支持率低下の背景には政治停滞、景気回復の遅れへの不満が

2014年11月5日(水)14時59分
IBTimes(アイビータイムズ)米国版

逆風 投票直前のオバマの支持率は40%前後にまで低下した Larry Downing-Reuters

 バラク・オバマ大統領に対する信任投票とも言えるアメリカの中間選挙で、野党・共和党は下院だけでなく上院でも大きく議席数を伸ばし、過半数を奪回しそうな勢いだ。

 4日の中間選挙では、定数435の下院の全議席の改選の他、上院の定数の約3分の1にあたる36議席、それに36の州知事の選挙が実施された。選挙戦のカギになったのは、なにより40%前後にまでオバマの支持率が低下したこと。さらに党派間の対立による政治の停滞や、多くの中間層が実感できる程には国内経済が回復していないこともオバマの逆風となった。

 共和党は上院で議席を伸ばす勢いだが、事前の世論調査によれば8〜10州では共和党、民主党のどちらが議席を取るかわからない接戦となっている。共和党が現在の45から議席を6増やし、2006年以来8年ぶりに上院の過半数を取れるかどうかはまだはっきりしていない。

 最終的な結果が出るのは年末から年明けになる可能性もある。同じ党から複数の候補が出馬できる制度のルイジアナ州やジョージア州では、12月や来年1月の決戦投票で候補者が過半数を獲得するまで当選が決まらない可能性もあるからだ。

 共和党が上院選も制すれば、議会上下両院を共和党が牛耳ることになる。

 そうなれば、オバマは就任以降で最も劇的な政治的変化に対処しなければならない。共和党が反対する政策に関しては大幅な妥協を余儀なくされ、残り2年の任期中は難しい政権運営を迫られるだろう。

 しかしオバマ周辺は、中間選挙の結果がオバマに政治戦略の転換を迫るものではないとはねつける。大統領報道官のジョシュ・アーネストは、上院選で民主党が苦戦した州の多くは、前回12年の大統領選でオバマが共和党候補のミット・ロムニーに負けた州だと指摘する。

 中間選挙の意味について会見で聞かれたアーネストは、「勝敗地図だけを見て、中間選挙の結果に大統領選と同様に大きな意味があると考えるのは賢明ではない」と、話している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:米株市場は「個人投資家の黄金時代」に、資

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック小幅続落、メタが高

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、156円台前半 FRB政策

ビジネス

FRB、準備金目標範囲に低下と判断 短期債購入決定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中