最新記事

事故

それでも旅客機は車より安全だ

アシアナ航空機の事故は恐怖だが、自動車事故で死ぬ確率のほうが70倍も高い

2013年7月9日(火)16時45分
マシュー・イグレシアス

着陸失敗 滑走路に衝突して炎上したアシアナ航空の機体 Jed Jacobsohn-Reuters

 メディアは今、アシアナ航空がサンフランシスコ空港で着陸に失敗した事故のニュースで持ちきりだ。巨大な旅客機が滑走路に衝突して炎上した大事故なのだから、無理もない。

 だが一方で、飛行機事故はめったに起こらないからこそこれだけのニュースになることも忘れないほうがいい。業界団体「エアライン・フォア・アメリカ」が1999年から2008年にかけてのアメリカで起きた事故を交通手段別に調べたところ、1億旅客マイルあたり(乗客1億人を1マイル移動させた場合)の事故率は自動車が0.72、バス0.05、電車0.05、飛行機0.01だった。つまり、自動車事故で死ぬ確率のほうが70倍も高いということだ。

 車同士が衝突したり歩行者をひいたりするリスクのほうがかなり高いというのに、飛行機事故ほどメディアの注目を集めないのは残念なことだ。

 飛行機と車を比べるのは、ある意味、りんごとみかんを比べるようなものかもしれない。ソウルからサンフランシスコまで運転する人はいないし、サンフランシスコからすぐ近くのパロアルトまで飛行機に乗る人もいない。

 それでも、車と飛行機が移動手段として競合しているルートはある。その場合、統計的には飛行機のほうが安全なチョイスなのだ。

© 2013, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「トランプ口座」に投資家ダリオ氏が寄付、ブラックロ

ビジネス

NZ経済、第3四半期は前期比+1.1% プラス成長

ワールド

EU、農産物輸入規制強化で暫定合意 メルコスルFT

ビジネス

オラクル、データセンター出資協議順調と説明 投資会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中