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アメリカ政治

ヒラリー「最強の国務長官」への舞台裏

2013年2月4日(月)13時40分
マイケル・ハーシュ(ワシントン支局)

複雑な世界観を育んだ年月

 ただし、まだ「これがクリントンの実績」と言えるものはない。それが歯がゆいとある側近は語る。しかしクリントン本人は、1つの問題に集中する「暇」はない、与えられた課題はあまりに膨大だと言う。

 実際、クリントンはファーストレディー時代から今日までに、深遠かつ複雑な世界観を育んできた。95年に北京で開かれた第4回国連世界女性会議では、女性の権利とは人権であり、人権とは女性の権利であると宣言してみせた。

 しかし上院議員に転身後は、02年のイラク開戦決議に賛成票を投じるなど、タカ派色を強めた。10年1月には「インターネットの自由」をめぐり、中国やイランなどに「新たな情報のカーテン」が下ろされていると警告した。

 経済発展と女性やマイノリティーの地位向上によって社会の安定化を図ることが、戦争など外交問題を解決するカギの1つだという信念は今も変わらないはずだ。しかし96年の著書で家族や子育てを語ったクリントンと、タカ派のクリントンは車の両輪だ。「ひとことでは言えない人物。こうしたイメージすべてを兼ね備えている」と、ある国務省当局者は言う。

 いつまで国務長官に専念するつもりかは分からない。オバマから突然の就任要請があるまで、クリントンは上院に戻って予備選の回顧録を執筆するつもりだった。2期目は続けないかもしれないと友人たちに漏らしたこともある。その点をただすと、クリントンは目を伏せてこう答えた。「まあ成り行き次第ね」

 どうやら当分は、「昨日の敵」とのパートナーシップを楽しむつもりらしい。

[2010年5月 5日号掲載]

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