最新記事

米大統領選

富豪ロムニー候補は「貧困層に関心なし」

共和党の指名獲得レースで快走中のロムニーだが、社会の最底辺層には共感ゼロ

2012年2月2日(木)17時06分
ティム・フィッツサイモンズ

富豪ボケ? アメリカは福祉が充実しているので貧困層は大丈夫、と言ってのけたロムニー Mike Carlson-Reuters

 1月31日に行われたフロリダ州の予備選で圧勝し、共和党の指名獲得レースでトップを快走中のミット・ロムニー。だが、安心するのはまだ早い。翌朝、CNNのインタビューに応じたロムニーは早速、対立候補から格好の攻撃材料にされそうなネタを提供した。

 ロムニーは、自分が大統領の座を目指すのは中間層を救うためだと語った。全米のトップ0.0006%に入る大富豪として、一般庶民の気持ちがわからないと常々批判されていることを考えれば、当然の戦略かもしれない。

 問題はその後、超貧困層について触れた部分だ。「セーフティーネットがあるから、極貧層のことは心配していない。セーフティーネットに修正が必要ならそうするつもりだ」と、ロムニーは語った。「大富豪層についても心配していない。彼らは大丈夫だ」
 
 極貧層をないがしろするような発言は、これだけではない。 「極貧層に重点を置くこともできるが......私の焦点はそこではない。貧しいことがよくないのは間違いないが」と、ロムニーは繰り返した。

 さらに、民主党陣営は「貧しい人々の窮状」について選挙戦で訴えるだろうが、自分にとっての焦点は「中流層のアメリカ人であり、退職して社会保障で暮らす人、仕事を見つけられない人、大学進学をめざす子供をもつ親たち」だと改めて強調。「彼らこそオバマ時代に最も傷つけられた人たちだ」

 番組のホスト役のソレダッド・オブライアンは、大勢のアメリカ人が貧困で「苦しんでいる」と語り、彼らはこの発言を「変」だと感じるだろうと指摘した。

 だがロムニーは「アメリカにはセーフティーネットがふんだんにある。食料配給券にメディケイド(低所得者向けの医療保険制度)、住宅補助など貧困層を支える制度がある」と反論。「今、本当に苦しんでいるのは中間層のアメリカ人であり、彼らは自分たちのために経済を動かしてくれる人を必要としている」


GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げで経済界に一定の影響考えられる、注視したい=

ビジネス

商船三井、社長に田村専務が昇格へ 「次世代見据えた

ビジネス

ドル156円台に上昇、日銀の利上げ決定後上下

ビジネス

日銀、0.75%への利上げを決定 30年ぶり高水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中