最新記事

アメリカ経済

止まらない米構造失業のスパイラル

企業の45%が求める人材が見つからない、と言う厳しい現実

2011年8月23日(火)14時53分
ロバート・サミュエルソン(本誌コラムニスト)

ミスマッチ 就職説明会に並ぶ失業者たち Shannon Stapleton-Reuters

 アメリカでは、1400万人近い失業者がいる一方で欠員が埋まらない職があるという不可解な状況が発生している。いわゆる「構造的失業」問題だ。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの調査では、半年以上にわたって空席のままのポストがあると回答した企業が全体の40%に上った。

 構造的失業の原因については諸説ある。高校での職業訓練や職業別組合による技能修習プログラムが衰退したせいだという説、仕事のために引っ越すのを嫌がる人が増えたから、という説もある。

 企業と従業員の関係の変化もあるだろう。企業側は解雇への抵抗感が、労働者側は会社への忠誠心が以前より薄れてきている。簡単に転職する労働者に対し、企業は職業訓練などの投資を敬遠しがちだ。各企業は、既にビジネスやテクノロジーに関する基本的な技能を備えている人材を雇い、入社後は企業特有の業務や制度に焦点を絞った訓練を行いたいと考えている。

「雇用主たちは確かな技能を持った人材を求めている」と、マッキンゼーの調査は指摘する。「十分な経験のある人材がいない」と回答した企業は全体の45%に上った。

[2011年7月 6日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国の乗用車販売、9月は反転増加 下取り補助金が効

ビジネス

米ベイン、富士ソフトに法的拘束力ある提案 1株94

ワールド

中国、政府債務「大幅増加」へ 経済回復を後押し

ワールド

アングル:南アジアで国境またぐ水害増加、求められる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米経済のリアル
特集:米経済のリアル
2024年10月15日号(10/ 8発売)

経済指標は良好だが、猛烈な物価上昇に苦しむ多くのアメリカ国民にその実感はない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明かす意外な死の真相
  • 3
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギリス人記者が見た、「メーガン妃問題」とは?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 5
    北朝鮮製ミサイルに手を焼くウクライナ、ロシア領内…
  • 6
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 7
    ビタミンD、マルチビタミン、マグネシウム...サプリ…
  • 8
    2匹の巨大ヘビが激しく闘う様子を撮影...意外な「決…
  • 9
    南極「終末の氷河」に崩壊の危機、最大3m超の海面上…
  • 10
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパ…
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティアラが織りなす「感傷的な物語」
  • 3
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた「まさかのもの」とは?
  • 4
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 6
    2匹の巨大ヘビが激しく闘う様子を撮影...意外な「決…
  • 7
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」…
  • 8
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…
  • 9
    ウクライナ軍がミサイル基地にもなる黒海の石油施設…
  • 10
    戦術で勝ち戦略で負ける......「作戦大成功」のイス…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 4
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中