最新記事

アメリカ政治

シュワちゃん知事引退後はどうするの?

8日の共和党予備選でカリフォルニア州知事の後継候補が決まり、シュワルツェネッガーの「進路」に注目が集まるが

2010年6月14日(月)14時28分
ダニエル・ストーン(ワシントン支局)

レームダック 州の財政難などで苦境に立つが、「ラストスパートをかけたい」と言う Jason Reed-Reuters

 アーノルド・シュワルツェネッガーは最初、政治に向いていないように見えた。この「ターミネーター」男は、映画1本で1000万ドルを稼いでハリウッドでキャビアでも食べているほうが、カリフォルニア州の財政収支を均衡させるよりよほど楽しいということに気付くはず──2003年の時点で州民はそう思っていた。

 ところが、どうだ。シュワルツェネッガーは踏ん張った。知事公邸に7年も住み続け、途中で再選もされている。

 しかし、ハリウッドのセレブが政界でも華々しく成功したわけではない。(3選禁止のため)今年で引退する彼の州全域での支持率は23%と低迷。当初の公約の大半は頓挫した。党派的な行動を取る代わりに妥協を試みるたび、しっぺ返しを食らった。これは党派心を奨励するアメリカの政治システムの欠点だと彼は嘆く。

 6月9日のABCの番組で、人々が自分に怒る理由は分かっていると彼は率直に語った。「別に構わない。このムードは分かっているし、現状に怒る人々を責めるつもりはない」

 苦境に立つ知事にとって、引退後のプライベートな生活は待ち遠しいはずだ。しかし彼は、知事職で「本領を発揮できる」し、ラストスパートをかけたいと述べた。

「引退の日まで考えない」

 たくましい筋肉と高い知名度を持つこの男にとっての大問題は、次に何をするかということ。番組ではその質問には答えなかった。知事を引退する日まで考えるつもりはないという。とはいえ、ひそかに考えを巡らせたことはあるはずだ。

 ボディービルと銀幕の世界を制し、憲法上許される範囲で最高位の政治職にも就いた。次にどんな活動を始めるかを予測するのは難しい。大学の講師か、莫大な講演料を稼ぐ「元老」か、それともオーディション番組「アメリカン・アイドル」の次期審査員か。

 上記のすべてをこなして自身のブランドを再構築することもできるだろう。だがひょっとすると、彼は家でのんびり過ごしながら歴史の審判を仰ぎたいのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石油大手2社への制裁でロシアは既に減収=米財務省

ビジネス

中国COMAC、ドバイ航空ショーでC919を展示飛

ワールド

カナダ議会、カーニー政権初の予算案審議入りへ 動議

ワールド

過度な依存はリスクと小野田経済安保相、中国の渡航自
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 7
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中