最新記事
SNS

ツイッター新CEOの「楽観主義者」ヤッカリーノとは何者なのか?

2023年5月17日(水)08時47分
ヘザー・タル・マーフィー(スレート誌ビジネス・テクノロジー担当)
イーロン・マスク, ヤッカリーノ

ヤッカリーノ(右)は広告業界の実力者で、マスク流には好意的? FROM LEFT: CLIVE MASONーFORMULA1/GETTY IMAGES, SANTIAGO FELIPE/GETTY IMAGES

<ツイッターの魅力的買収に注目してきたと語る、新CEO。多くの広告主が離れ、売り上げが激減したツイッターを本当に救えるのか? 泥船の出港はいかに...>

ようやくツイッターの新しいトップが決まった。オーナーのイーロン・マスクが自身の後任として、ツイッターの運営会社であるX社のCEOに選んだのは、リンダ・ヤッカリーノ。メディア大手NBCユニバーサルの広告部門トップを務めてきた人物である。

昨年10月にマスクが買収して以降、ツイッターでは広告主の流出が深刻化している。その点、ヤッカリーノはメディア広告の世界で屈指の実力者だ。ツイッターが広告主の信頼を回復し、広告収入を取り戻す上では、うってつけの人材と言えるかもしれない。

しかし、こんな声も聞こえてくる。このタイミングで、あのイーロン・マスクの下でツイッターの舵取り役を好きこのんで務めたいと思う人などいるのだろうか、と。

昨秋の買収以降、マスクは過激な発言を繰り返す一方で、ツイッターの社員を大量に解雇し、サービスの内容を次々と変更してきた。その結果、有力なユーザーから相次いで背を向けられ、大規模なリストラの影響によりサービスにも混乱が生じている。

その上、マスクはツイッターを万能アプリ「X」に進化させるという壮大な野心を示している。おまけに、マスクの陰謀論的主張や不愉快な発言に対する批判は絶えない。

こんな会社のCEOに就任するのは、沈没しつつある船の船長を引き受けるのに等しいではないか。しかし、ヤッカリーノ自身は、メディア業界の幹部たちの中では誰よりも、マスクの下でのツイッターに対して楽観的な見方を示していた。

昨年11月に広告業界のイベントでスピーチをした際には、マスクに「少し時間を与えるべき」だと発言している。そして「(マスクが)失敗するほうに賭ける」つもりにはなれないと述べ、ツイッターの「魅力的」買収に「注目してきた」と語った。

ツイッターの新CEOは、どのような人物なのか。現時点で分かっていることをまとめてみよう。

◇ ◇ ◇


■CEOを引き受けた動機は?

ヤッカリーノは、広告業界で極めて高い評価を得ている人物だ。この業界において「最も力がある女性」のリストの類いにもたびたびランクインしてきた。

ヤッカリーノは、しばらく前から、自身のキャリアの次のステップとして大手メディア企業のCEOの座に意欲を持っていたようだ。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中