最新記事

インタビュー

なぜ今、日本でSDGsへの関心が高まっているのか

2021年8月25日(水)12時45分
森田優介(本誌記者)

何度でもリサイクルし続ける日本環境設計「BRING」プロジェクト

――事例、アイデアということでは、いま日本で行われている環境分野の取り組みでは、例えばどんなものに注目しているか。

経済とつながった例を1つ挙げると、日本環境設計(2007年創業、神奈川県川崎市)が推進しているBRINGというプロジェクト。服から服を作っている。

ポリエステルを、石油由来と同等品質の状態まで戻して、そこから再びポリエステルを作るというケミカル(化学)リサイクルの技術を持つ会社で、福岡に工場を持っている。川崎でペットボトルからペットボトルを作る、リサイクルPET樹脂の製造もスタートさせた。

ケミカル・リサイクルのコンセプトはつまり、繰り返しリサイクルできるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を実現すること。もう地下から掘るのはやめましょう、地上にあるポリエステルを回収して、何度も繰り返し作り直す。まさに解決策です。それを世界の中でもリーダーシップを持ってやっていらっしゃる。

技術を開発しただけでなく、(洋服などの)回収ポイントを10年以上前から、100社以上と組んで設けてきた。そういう社会的なシステムもデザインしている。

今年2月にはJALが古着25万着から製造したバイオジェット燃料で東京―福岡便を飛ばしたが、あれにも日本環境設計の技術が生かされている。つまり、要らなくなった服で飛行機を飛ばそう!という夢をつくった。単純にリサイクルをやるのではなくて、そこに夢をつくる。そういうコミュニケーションデザインが天才的だと思う。

こうした事例やアイデアから若い人たちが――そして大人も――学んでほしいのは、サステナブルな社会の実現は、何かを我慢してたどり着くのではなく、ポジティブでクリエイティブな挑戦をし続けることによって到達するんだ、ということ。

若者にしかできない発想やフットワークをフルに使って、経験やネットワークのある大人たちと対話をしながら、これまでにない未来をつくり出すことができる時代なんだと思ってほしい。

※編集部:「BRING」に関する回答内の表現を一部修正しました(2021年9月1日16:15)

ニューズウィーク日本版 トランプvsイラン
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

ダライ・ラマ「一介の仏教僧」として使命に注力、90

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強

ワールド

英外相がシリア訪問、人道援助や復興へ9450万ポン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中