最新記事

テクノロジー

アディダスCEO「新シューズ開発続ける」と明言 相次ぐ陸上記録更新に批判も

2021年8月6日(金)18時25分
アディダスのシューズ

ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスのカスパー・ローステッド最高経営責任者(CEO)は5日、東京五輪や各地の大会で一部の選手が新素材を使ったシューズを履いたことで記録を更新した可能性があるとして、公平性を疑問視する声が上がる中、同社はランニングシューズの新技術開発を続けていくと明らかにした。写真は2013年3月撮影(2021年 ロイター/Michael Dalder)

ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスのカスパー・ローステッド最高経営責任者(CEO)は5日、東京五輪や各地の大会で一部の選手が新素材を使ったシューズを履いたことで記録を更新した可能性があるとして、公平性を疑問視する声が上がる中、同社はランニングシューズの新技術開発を続けていくと明らかにした。

同CEOは決算発表の記者会見で、「認められるシューズの仕様は規則で極めて明確に定められている」と説明。「誰もが限界を超えようと努力しており、国際オリンピック委員会(IOC)は明確に許容基準を定めている。それこそが何が公正であるかを示す最良の方法だ」と語った。

反発力の高い「ブースト」ソールを使ったアディダスのランニングシューズは、2014年のデニス・キメット選手のマラソン世界記録更新に貢献したとされる。最近の陸上界では、ナイキが厚底シューズ「アルファフライ」の使用選手が増えている。

カーボンプレート内蔵の厚底ランニングシューズや新たなスパイクの登場以来、長年破られなかった記録が次々と塗り替えられ、過去との比較がしにくくなった。

昨年12月にはハーフマラソンで世界初となる57分台を4人の選手が同じレースで記録。優勝したキビウォット・カンディ選手はアディダスのカーボンシューズ「アディオス プロ」を履いていた。

東京五輪では、400メートルハードルの男子と女子のレースでそれぞれ世界記録が更新され、大会直前に更新された世界記録をさらに塗り替えた。他の距離の種目でも国内新記録が連発しており、新シューズが物議を醸している。

ローステッドCEOは、たとえ国際大会で使われない可能性があっても、技術革新のために既存の規制範囲を超えた技術の開発を続けていくと表明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・なぜ五輪選手が亡命を余儀なくされるのか ベラルーシ政治情勢まとめ
・東京五輪、中国人バド選手が韓国ペアとの試合中に「罵倒」連発で騒動に
・「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女子ビーチハンド代表


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中