最新記事

ネットビジネス

米司法省、グーグルのクッキー外部提供禁止について競争問題で調査

2021年3月19日(金)08時49分

アルファベット子会社グーグルがインターネット閲覧ソフト(ブラウザ)「クローム」利用者の閲覧履歴(クッキー)の外部提供をやめる計画について、米司法省が懸念を持ち、この計画で中小のライバル勢が不利益を被らないかどうか関連業界への聞き取り調査を進めている。写真は欧州本部、2月撮影(2021年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)

アルファベット子会社グーグルがインターネット閲覧ソフト(ブラウザ)「クローム」利用者の閲覧履歴(クッキー)の外部提供をやめる計画について、米司法省が懸念を持ち、この計画で中小のライバル勢が不利益を被らないかどうか関連業界への聞き取り調査を進めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

グーグルは1年前、個人情報を保護するために、クローム上で第三者が追跡できるクッキー(サードパーティー・クッキー)を段階的に廃止する方針を表明。過去2カ月間でより詳細な内容を示したことで、オンライン広告業界の他社からデータ収集手段を失うと不満が出ている。

こうした中で司法省は、サードパーティー・クッキーを含めたグーグルの方針が広告・ニュース業界にどのような影響を及ぼすのかを把握する目的で質問している、と4人の関係者が話した。特にグーグルがブラウザ市場のシェア6割に達するクロームを通じて、ライバルにクッキーの追跡をさせないようにしながら、自らクッキーや他の手段で個人データを集める抜け道を開発し、市場の競争を弱めていないか判断しようとしているもようだ。

関係者の1人によると、これまでにさまざまなセクターにまたがる十数社の幹部が司法省と接触した。

司法省は昨年10月、グーグルのネット検索事業に関して圧倒的な市場支配力を用いて競争を阻害したとして反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴しており、同12月にはテキサスなど10州の司法長官がグーグルのオンライン広告市場を巡る慣行が反トラスト法に違反していると訴えた。

この関係者は、サードパーティー・クッキーを巡る問題でもテキサス州などが指摘しているのと同等かさらに悪質なグーグルの振る舞いがあるかどうかも調査していると説明した。

司法省の聞き取り調査は法的措置につながらないかもしれない。ただ新たな訴訟を起こすか、テキサス州などの訴訟と一体化させる可能性もある。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ

ビジネス

中国、ハードテクノロジー投資のVCファンド設立=国

ワールド

金・銀が最高値、地政学リスクや米利下げ観測で プラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中