最新記事
SDGsパートナー

変化に強い会社へ成長、その推進力に...「離職率0%」の青木あすなろ建設に見る、高度外国人材との理想の関係

2025年10月22日(水)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

実際、海外技術者育成就労支援室の業務は多岐にわたる。海外での採⽤活動に始まり、⼊国手続きのサポートに日本に来てからの生活のサポート、現場配属後のケア。⽇本語や施⼯管理、安全に関する知識のほか、社内ルールや⽇本⽂化に対する理解を深めてもらうための教育も行っている。海外技術者が会社の一員としての意識を高めて働けるよう、新たな施策を立案・実行してもいる。

日々の施工管理業務に意欲的に取り組める環境が整った外国人技術者たちは、さらなる挑戦にも踏み出せる。土木施工管理技士資格やより高レベルな日本語検定試験にチャレンジする人もおり、合格者も出ているという。

1期生入社から3年目となる今年度においても離職率が0%というのは、こうした取り組みの賜物と言えるだろう。28年3月期には外国人社員数が100人に到達する見込みだ。

newsweekjp20241225095514-0fb8bc6caa9939590e0a1b9bd5d3fd635f5f1d86.jpg

外国人技術者による社内プレゼンテーション

「こういった取り組みが行われている会社であることが、外国人材のコミュニティ内でも情報として広まっているようで、最近は当社への応募も増えつつあります」

管理本部海外技術者育成就労支援室室長の桜池誠志氏はそう語る。

25年6月には駐日スリランカ大使館への表敬訪問も実現。22人の同国出身技術者が全国各地の作業所で専門性を活かしながら活躍し、日本の建設業界の発展に貢献していることを伝え、スリランカ大使からは、日本で培った技術とスキルが今後両国の発展に寄与することへの期待が述べられた。

同8月には、駐日スリランカ大使館のピヴィトゥル・ジャナック・クマーラシンハ特命全権大使が同社を訪問し、同国出身の技術者が配属されている現場を視察した。

newsweekjp20251021023447.jpg

同社を訪問した駐日スリランカ特命全権大使のクマーラシンハ氏。写真右は髙松コンストラクショングループの髙松浩孝代表取締役社長、同左は青木あすなろ建設の望月尚幸代表取締役社長(2025年8月20日)

自社の強みや弱みを見直す契機にも

少子高齢化による労働者不足が続く日本において、外国⼈労働者の重要性は高まっている。内閣府の年次経済財政報告によれば、24年10月末時点の外国人労働者数は約230万人と過去最多を更新した。青木あすなろ建設が海外技術者受け入れのために手を尽くす背景にも、人材不足に対する厳しい現状認識がある。

だが外国人スタッフは単に人手不足の穴を埋めるだけではなく、もっとプラスの影響を会社にもたらしている。

newsweekjp20241225095435-6c60f4dcb12ba296d87524b866566bfdc7147e7b.jpg

作業所で笑顔を向ける外国人技術者ら

実際、彼らとコミュニケーションを取るために語学の勉強を始めたり、英語で話しかけたりする日本人社員も出てきているという。外国人社員の存在は、会社全体に新たな風と刺激をもたらすと同時に、変化に強い企業体質づくりにも貢献している。

「外国人材が日本人と同じように当社を選び、成果を出し、キャリアを積めるようなグループにしていきます」と、桜池氏は意気込む。

「具体的には、現場から本社勤務への配置転換、役職者へのキャリアアップ等、実態に即した企画立案、規定整備等も行っていく方針です。さらに、当社独自でスリランカにて日本語学校を開校し、さらなる優秀な外国人社員の採用を目指しています」

こうした同社の取り組みは、⼈⼿不⾜にあえぐ多くの⽇本企業にとって、そして多様性を認め合える社会づくりが課題のこの国にとって、ひとつの指針と言えるだろう。

◇ ◇ ◇

アンケート

どの企業も試行錯誤しながら、SDGsの取り組みをより良いものに発展させようとしています。今回の記事で取り上げた事例について、感想などありましたら下記よりお寄せください。
アンケートはこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油現物が最高値更新、150ドルに迫る 米のホルム

ワールド

米イラン停戦「非常に脆弱」、中国外相 対立激化への

ビジネス

エネ価格「ECB基本シナリオに依然最も近い」=クロ

ワールド

再送トランプ氏、イラン高速攻撃艇「即座に排除」 封
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    トランプ政権に逆風...「イラン戦争でインフレ再燃」…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中