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2027年に「蛍光灯禁止」...パナソニックのLED照明は単なる「省エネなLED」ではない

2024年12月6日(金)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
パナソニック 蛍光灯

写真はイメージです Aleksei Ignatov-shutterstock

<国際会議での決定により、蛍光灯の製造・輸出入が禁止される。これからLEDへの「移行の波」が予想されるが、消費者にとって節電になるというだけの話ではない。照明大手パナソニックが取り組む、製造・施工過程での課題解決とは>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

照明器具の製造工場をCO2排出量実質ゼロに

蛍光灯の製造・輸出入が2027年末をもって禁止される。蛍光灯は環境に有害な水銀を使うことから、国際会議で2023年に決定された。多くの家庭やオフィス、工場では今も蛍光灯が使用されており、大きな変化がこれから訪れることになる。

パナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW社)は2024年10月、2027年9月末での蛍光灯の生産終了を発表した。国際会議を受けての生産終了発表は大手メーカーでは初。蛍光灯の国内シェア60%を占める同社は、1951年の直管蛍光灯の第1号発売(当時はナショナル)以来、73年間にわたり日本市場を牽引してきた。

蛍光灯からLED照明に替えれば、消費電力を約40~60%削減できる。気候変動対策としても「蛍光灯時代の終焉」は重要な転換点と言えるだろう。

ただし、そうした節電・省エネ効果だけではない。国内LED市場で約4割のシェアを持つパナソニックEW社では、使用するときだけでなく、製造するときも環境に配慮したLEDにするための改革を推し進めてきた。

2012年の発売以来5000万台以上を出荷している主力のLED器具「iDシリーズ」を製造する新潟工場では、環境配慮型のものづくりを徹底。1973年の操業以来、消費電力の見える化や製造設備の見直しなど地道な活動を続けており、2017年にはグッドファクトリー賞、2018年には省エネ大賞・資源エネルギー庁長官賞を受賞するなど高い評価を受けてきた。

2017年からは、重力や自然エネルギーを活用した、電力を使わない生産性改善「からくり改善」など独自の取り組みにも力を入れている。

2023年には太陽光発電設備を増強し、CO2排出量を年間1140トン分削減。省エネ・創エネ活動での利益を原資に、再生可能エネルギーの買電やJクレジットの購入を行うことで、2024年度にCO2排出量の実質ゼロ化を成し遂げた。2030年度には、新潟工場だけでなく、照明器具の全製造拠点でのCO2ゼロ化を目指すという。

ほかにも同社では、再生樹脂や再生鉄を使用した「iDシリーズ」のモデルチェンジ、リサイクル材や代替素材、自社工場内の廃材の活用など、環境を重視した照明器具の製造を加速させている。

資源の投入と廃棄を最小限に抑える循環型経済「サーキュラーエコノミー」の取り組みについて、同社ライティング事業部プロフェッショナルライティングビジネスユニット長の熊澤龍也氏はこう説明する。

「工場内で出た廃材を回収してリサイクルする。これはある意味、大きな流れのサーキュラーエコノミーの中の『製造』の過程でもう一度くるっと回しているような形です」

さらに2023年度には、北海道内に109店舗を展開する「生活協同組合コープさっぽろ」をフィールドに、使用済み照明器具のリユース展開・回収・再資源化の実証実験を開始した。これにより、製造から利用、リサイクルまでを含めた、本当の意味での「照明サーキュラーエコノミー」の実現に一歩近づくことになる。

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