最新記事
カフェイン

午後のコーヒーが睡眠を壊すことも...専門家が教えるカフェインとの正しい付き合い方

2026年3月24日(火)18時43分
田原 優 (広島大学大学院 医系科学研究科 公衆衛生学 准教授*PRESIDENT Onlineからの転載)

「ポリフェノール」が健康に役立っているだけ

細かくいえば、ポリフェノールにはさまざまな種類があります。その数、8000以上。有名なものでは、赤ワインに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボン、チョコレートに含まれるカカオポリフェノール、緑茶に含まれるカテキンもポリフェノールの一種です。コーヒーに含まれるのは、クロロゲン酸というポリフェノールです。

ちなみに柑橘類に含まれるノビレチンというポリフェノールは、体内時計を調節する力があります。体内時計を調節するものとしては、ノビレチンとカフェインが二強といってよいほどです。柑橘類の中でもシークワーサーはノビレチンが多く含まれる優れモノです。


ノビレチンやカカオポリフェノールは朝に摂ることで体内時計の調整にもつながります。

ポリフェノールが含まれていることでよく知られる赤ワインは、100ml当たり約230mg含まれていると言われています。図表3は一つの目安ですが、コーヒーのポリフェノール量は赤ワインよりは少ないものの200mgです。

(Yoichi Fukushima et al.(2009).Coffee and green tea as a large source of antioxidant polyphenols in the Japanese population. Journal of Agricultural and Food Chemistry,57(4),1253-1259.)

緑茶はその半分ほどの115mg。いずれも他に比べれば、相当に多いですよね。

newsweekjp20260324010848.jpg

ですから「カフェインで健康になっている」というのは案外、勘違いかもしれません。「コーヒーに含まれるポリフェノールの効果が、健康のために役立っている」と捉え直しておくことは、カフェインの摂取量を増やさないポイントにもなります。

カフェイン摂取の5時間後でも、半分残る

摂取量への注意があれば、摂取タイミングにも注意があります。

厚生労働省は2024年に「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を発表しました。この中には、夕方以降に100mg以上のカフェインを摂ると睡眠の質を下げることが指摘されています。

たとえば19時に100mgのカフェインを摂ると24時になっても50mg分のカフェインが体内に残ってしまい、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりするなどの影響があるといいます。またこのガイドは、子供は少量のカフェインでも影響を受けること、さらに高齢者も年を重ねるにつれてカフェインの代謝が弱まっていくこと、妊娠中も控えたほうがいいことにも触れ、注意を促しています。

カフェインと睡眠の質の関係性は、海外でも研究されています。

オーストラリアの研究者らは2023年に論文を発表しました。この研究では、睡眠とカフェインの関係について調べた24の論文を併せて解析しています。これによるとカフェインを摂ることで総睡眠時間は45分減り、睡眠効率は7%下がるという結果が出ています。

(Carissa Gardiner et al.(2023).The effect of caffeine on subsequent sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews,69,101764.)

睡眠効率とは、ベッドや布団にいる時間のうち、寝つくまでの時間や途中で起きた時間を差し引いた、実際に眠っている時間の割合のことです。より具体的には寝つくまでの時間は9分、寝てから途中で起きた時間は12分増加したといいます。また浅い睡眠は6.1分(1.7%)増え、深い睡眠は11.4分(1.4%)減りました。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米労働生産性改定値、25年第4四半期は1.8%上昇

ビジネス

エネルギー高、22年より広範に定着の可能性=オラン

ワールド

パキスタン首相「米・イラン協議開催の用意」、中東紛

ワールド

米国務長官、27日のG7外相会合で中東・ウクライナ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 7
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 8
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 9
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 10
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中