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カフェイン

午後のコーヒーが睡眠を壊すことも...専門家が教えるカフェインとの正しい付き合い方

2026年3月24日(火)18時43分
田原 優 (広島大学大学院 医系科学研究科 公衆衛生学 准教授*PRESIDENT Onlineからの転載)

「飲めば飲むほど力が湧く」ものではない

これは最悪のケースですが、他にも多量のカフェイン摂取には副作用があります。

めまいや心拍数の増加、興奮、不安、ふるえ、不眠、下痢や吐き気、嘔吐など。心拍数の増加から、動悸や不整脈を引き起こすこともありますし、特にカフェインに敏感な方の場合は不整脈のリスクが高まります。


また、アドレナリンの分泌を増やすことから、過剰摂取により不安になったりパニック症状が出る可能性もあるでしょう。不安障害やパニック障害のある方は、避けたほうが無難だといえます。加えて、カフェインは胃酸分泌も促します。胃もたれや胸やけを引き起こす場合もあるでしょう。さらに第4回で利尿作用があることにも触れましたが、利尿作用が進めば脱水症状もありえます。

いずれも短い時間にたくさんのカフェインを摂ることでのリスクですから、まずは摂取量に気をつけたいところです。

そもそもですが、カフェインは「飲めば飲むほど力が湧く」ようなものではありません。

マウスへの実験では、カフェインを与えた後のマウスはケージの中で4時間ほど動き続けます。とにかく元気いっぱいになるんですね。ところが与える量が多すぎると、逆に活動量は下がります。

「摂取量」を増やしても"効果"は出ない

図表2はイギリスの医学誌に発表されたもので、マウスにカフェインを与えた量と活動量の関係を表しています。はじめのうちは、カフェインを与えたマウスのほうが、与えないマウスよりも活動量が上がっています。

(Malika El Yacoubi et al.(2000). The stimulant effects of caffeine on locomotor behaviour in mice are mediated through its blockade of adenosine A2A receptors. British Journal of Pharmacology,129,1465-1473.)

newsweekjp20260324010819.jpg

ところが15分をすぎた頃から体重1kgあたり50mgのカフェインを与えたマウスと、カフェインを与えないマウスの活動量に差は見られなくなります。また、同じく100mg与えたマウスは、摂取直後でも活動量は低い状態でした。

集中力やパフォーマンスを上げたい、疲労感を軽減したい、から摂取量を増やすというのは大きな誤解です。十分に注意してください。

また、「健康にいいから」とカフェイン入り飲料を選んでいる方もいると思いますが、そのすべてがカフェインによるものかは定かではありません。というのもコーヒーや緑茶、紅茶にはポリフェノールが多く含まれており、その効果によって健康になっている可能性もあるからです。

ポリフェノールには抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用などがあることが知られます。さらに、がんや動脈硬化、生活習慣病の予防にもポリフェノールがよいといわれます。また「老化を防ぎ、美容に効果がある」と聞いたこともあるかもしれません。コーヒーを1日3杯飲む習慣がある方は、そうでない方と比べてシミが少ないというデータもあります。

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