「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果とは何か?
だとしても、消費者の立場からすると、悪意があるかないかなどどうでもいい。重要なのは結果だ。スーパーマーケットの棚には、人間の代謝システムを狂わす加工された食品がぎゅうぎゅうに押し込まれている。
精製糖や低コストの炭水化物だらけの加工食品を食べると、体に摂り込まれる膨大なカロリーに体の反応が追いつかなくなる。加工された食べ物に含まれる多量の香料や甘味料も、消化器系の正常な「満腹」シグナルをかき乱し、問題を悪化させる。
消費エネルギーよりも摂取エネルギーのほうが多ければ、余分なグルコースは脂肪として蓄えられる。と同時に、膵臓はバランスを保とうと必死になって働きすぎてしまう。その結果、体はインスリンに対する反応(感受性)が鈍くなる。これが2型糖尿病の主な原因だ。
ファスティングはグルコースによるインスリン分泌をゆるやかにして、体を休ませる。そうした休息は、質の悪い食品を摂取している体にはなおのことありがたい。いつもの食生活がどんなものであろうと、ファスティングが誰にとってもメリットがあるのはそういうわけだ。
そもそも、短期間でも悪いものを口にしないのは健康にいい。食事を摂らない時間帯を作ると、体はそれまで蓄えていた糖と脂肪をエネルギー源として利用する。グルコース濃度は常に安定し、インスリン値は下がるだろう。
デューク大学医科大学院の内分泌学者エイドリアン・バルノスキーとその同僚は、断続的ファスティングがインスリン抵抗性[インスリン感受性が低下し、血糖値が上昇する疾患]の予防に役立つと結論づけた(*1)。
また、ファスティングがレプチン抵抗性[脳に満腹信号を送るホルモン、レプチンが作用していない状態]を防ぐのにも有効であることを示す、説得力のある臨床的エビデンスもある。
レプチン抵抗性はインスリン抵抗性の前兆なので、このエビデンスは重要だ。血糖値を上げるものでない限り、一定の食品を摂りつつファスティングのメリットのほとんどを得ることはできる。それが断食を模倣した食事法の原則なのだ。





