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遭難

「低山だから大丈夫」が招く遭難...日本一「救助要請が多い山」の現実

2025年12月24日(水)12時38分
野村 仁 (編集者、ライター*PRESIDENT Onlineからの転載 )

低山でも「紙の地図」は必要不可欠

日没が迫った山道を、時間に追われながら走るように下るなどというのは、できるだけ避けたいやり方です。また、暗くなっても何とかなる、ライトがあれば歩けるという考え方も危険です。

暗い山道をライトで歩くのは、転倒、滑落、道迷いの危険が何倍にも高くなります。とりわけ初級者のかたには決してすすめられません。安全に帰ってくるためには、日没の2時間前に下山できるように計画を立てます。そのように、あらかじめ「計画を立てる」ということが、登山では重要なのです。


登山をするのに、地図は絶対に必要なものです。ところが、地図を持たないで登山をしている人が意外に多いようなのです。ハイキング(軽登山)なら、環境によっては地図が不要なこともあるでしょう。どんな場合なら地図が不要かを一口に説明するのは難しいです。

たとえば、整備された遊歩道のように、地図を見なくてもコースがわかるなら地図は不要といえます。町で生活しているときには、どんな場面で地図を見るでしょうか。目的地への道順を知りたいときに、道端に立てられた掲示地図か、スマホの地図を見たりするでしょう。

地図がなければ、近くにいる人にたずねるかもしれません。登山でも同じですが、掲示地図はまずありません。ほかの登山者はいないかもしれませんし、たずねることができたとしても、それが正しいという保証はありません。地図を見ないで山を歩いていると、かんたんに道に迷います。

「スマホの地図」は登山用には不十分

スマホに地図が入っているから地図を持たない人はとても多いと思います。

スマホの地図は表示範囲が狭いので、コース全体をイメージしにくいものです。現在位置がどこかを知ることはかんたんにできますが、地形の特徴を読み取ることや、コース上の目印になる目標物を予測するというような、地図の重要な使い方がしにくいと思います(上級者は、それでもやってしまうでしょうが)。

地図は、あらかじめ計画していたルートを正しくたどって歩くために必要な用具なのです。というより、登山の「計画」を作っている段階で、地図上でルートをたどって確認するのでないと、少なからずアウトに近いと思います。

また、コンパス(方位磁石)は、地図と実際の地形・コースの方角を合わせるのに使います。小さいものが1つあればいいですし、スマホのツールでも見ることができます。インターネットを見ただけで計画を決めるのは不十分です。大判の地図を広げて、実際に歩くルートをたどるシミュレーションをしましょう。

そうすると、特別な危険箇所や、急坂の登り下り、山道の分岐する状況、目印となる山頂、建物、構築物などのイメージが記憶に刻み込まれます。登山・ハイキング用の登山地図なら、いろいろな注意点まで地図中に書き込まれているので、とてもわかりやすいです。

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※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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