最新記事
食生活

女性の認知機能障害のリスクを6%低減!?、脳の健康を守る「MINDダイエット」とは

FOOD FOR THE BRAIN

2024年11月28日(木)18時19分
ハティ・ウィルモス

ソーヤーと米神経学会の科学者チームは1万4145人(白人70%、黒人30%、平均年齢64歳)を対象に、MIND食の効果を約10年にわたり調査した。

その結果、よりMIND食に近い食事をしていた人々は、認知機能障害を発症するリスクが低かった。認知機能が低下した人も、MIND食に近い食事を続けた場合、機能が低下するペースが遅くなる傾向が見られた。この関連性は男性や白人より女性や黒人に顕著に現れた。


研究ではまず、参加者が報告した食生活のパターンを基にMIND食の遵守度を点数化し、3つのグループに分けた。12点満点で低グループは平均5点、中グループは7点、高グループは9点となった。また、認知能力の評価として、研究の開始時と終了時に思考力と記憶力を測定した。

身近な食材を味方に

その結果、低グループは10年間で12%の人が認知機能障害を発症したが、中グループは11%、高グループは10%だった。さらに、年齢、血圧、糖尿病、肥満、収入などを考慮して数値を調整すると、高グループの人は認知機能障害の発症リスクが低グループより4%低かった。

女性は、MIND食に近い人は認知機能障害のリスクが6%低かった。一方、男性にはリスクの顕著な違いは見られなかった。

「どんなダイエットや食事法も、万人に完璧に合うことはない。個人の好み、特定の食品へのアクセス、食事の準備に使える時間など、多くの要素が関係する」と、ソーヤーは言う。

「MINDダイエットはどこの店でも手に入りやすい食材を推奨している。より多くの情報を得て選択することが、脳にとって健康的な食事への第一歩になる」

【参考文献】
Sawyer, R.P., Blair, J., Shatz, R., Manly, J.J., & Judd, S.E. (2024). Association of Adherence to a MIND-Style Diet With the Risk of Cognitive Impairment and Decline in the REGARDS Cohort. Neurology, 103.

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権の「敵性外国人法」適用は違法 連邦地裁

ビジネス

伊藤忠商事、今期2.2%増益見込む 市場予想と同水

ワールド

米予算教書、FBIや麻薬取締局の予算削減と関係筋 

ワールド

トランプ氏、2日に予算教書公表 環境・対外援助など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中