最新記事
教育

親の学歴・年収より影響が大きい!? 「子供の学力が上がった家庭」にたくさん置いてるあるものとは

2022年7月17日(日)11時00分
榎本博明(心理学博士) *PRESIDENT Onlineからの転載

そうなると、家庭の蔵書数の多いことが子どもの学力を高めているわけではなく、親の学歴や収入の高さが蔵書数の多さや子どもの学力の高さをもたらしているだけではないかと考えがちです。

しかし、さらにデータを詳細に検討してみると、どうもそういうわけではないことがわかってきます。社会経済的背景を統制しても、家庭の蔵書数と子どもの学力は関係していたのです。つまり、学歴や収入の低い層でも、高い層でも、それぞれの層の中では蔵書数が多い家庭の子どもほど学力が高いという傾向がみられたのです。

こうしてみると、家庭の蔵書数が多いほど、子どもの学力が高まると言ってよさそうです。これは、子どもの学力に影響する家庭の文化的環境の好例と言えるでしょう。

経済的に豊かなことが子供の学力向上に影響しているわけではない

なお、参考のために2021年に実施された全国学力・学習状況調査のデータを示すと、小学6年生の家庭の蔵書数は、0~10冊11.0%、11~25冊18.8%、26~100冊33.6%、101~200冊19.3%、201~500冊12.2%、501冊以上5.0%となっています。

子どもの知的発達に影響する家庭環境として、蔵書数の他に、文化的施設に子どもと一緒によく行くかどうかということもあります。

心理学者の内田伸子たちは、学力の格差は幼児期から始まるのかどうか調べるための調査を行っています。その結果、よく言われるように学力格差は親の経済格差と関係していましたが、それは見かけ上の関係に過ぎないと言います。

つまり、親が経済的に豊かだから子どもの学力が高いというわけではなく、高所得の家庭では蔵書数も多く、美術館や博物館に出かけることも多く、そうした文化的刺激が、子どもの学力の高さにつながっているのだとみなしています。

単に経済的に豊かなことが、子どもの学力向上につながるわけではないということです。

美術館や博物館に連れて行くことも子供の学力に影響している

2017年に文部科学省によって実施された全国学力・学習状況調査の結果のうち、蔵書に関する部分を前項で紹介しましたが、この調査結果と調査対象となった小学6年生および中学3年生の子どもたちの保護者に対する調査の結果を関連づける調査報告書でも、知的刺激が満ちている場に子どもと一緒に出かける親の行動が、子どもの学力と関係していることが示されています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪・EUが貿易協定締結、世界的な貿易摩擦が交渉を後

ワールド

金正恩氏「核保有国の地位不可逆」、韓国を最も敵対的

ワールド

タイ輸出、2月は前年比+9.9%に鈍化 予想下回る

ワールド

ロシアとベトナム、原発建設で合意 中断経て署名
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中