最新記事

コミュニケーション

「世界でもっとも有名なセレブ女性から電話番号を聞きだす」 ハリウッドの伝説のナンパ師が使った禁断のワザ

2022年1月16日(日)13時00分
橘 玲(作家) *PRESIDENT Onlineからの転載

ウェイトレスが、前の彼氏は子どもっぽくて別れたと話すと、ジェフリーズはそれを見逃さず、「じゃあ、君はもっと大人の男とデートしなくちゃな」といった。

「ちょうどそう思ってたのよ。あなたみたいな大人の人とって」と彼女が笑うと、「君がこのテーブルに来たときから、君が惹かれるのは私しかいないって思ってたよ」と"洗脳"し、あっさりデートの約束をとりつけた。

ウェイトレスは最後まで、「変なの」「あなたはあたしのタイプじゃないのに」といっているにもかかわらず。──このテクニックを見たPUA志望の男は「悪魔だね」といった。

ジェフリーズは1990年代に『プレイボーイ』誌の三行広告でスピードナンパ術のセミナーを告知する一方で、普及しはじめたばかりのインターネットでも売り込みを行なった。

真っ先にこれに反応したのがハッカーたちで、オンライン会議室に自分たちのナンパ体験(フィールドレポート)を公開し、そこで生み出された数々のテクニックがマニュアル化され、共有されていった。

ミステリーは、そんなインターネットのサブカルチャー(国際的なナンパアーティストの秘密結社)が生み出したヒーローだった。

ナンパマシーンに自己改造

ミステリーは2000年代はじめに、オンライン上のPUAコミュニティに彗星のように登場し、数々のフィールドレポートを発表して、その圧倒的な成功率でたちまち注目を集めた。

出会いからベッドインまでをフローチャートのようにルーティーン化するミステリーのメソッドは、催眠を使ったジェフリーズの手法とはまったく独立に開発されたもので、それ以外にも「横柄さとユーモアの組み合わせ」で女性を支配するとか、「動物並みの性欲」をアピールしてスキンシップをエスカレートさせていくとか、さまざまな流派が登場した。

非モテであることにコンプレックスを抱いていたニールは、有名音楽雑誌『ローリングストーン』のライターという肩書を使って多くのナンパ師とつき合った。ありとあらゆるテクニックを収集して、自分を「最高のPUAたちのパーツを組み合わせて設計されたナンパマシーン」につくり変えようとしたのだ。

仕事もなにもかも放り出して、スキンヘッドにスタイリッシュなジャケット、指輪やネックレスなどのアクセサリー、さらにはフィットネスで「自己改造」したニールは、半年もたたないうちに、ミステリーから相棒と認められる最高クラスのPUAに出世し、「スタイル」と名乗るようになった。

ニールはその後、PUAコミュニティについての記事を『ニューヨーク・タイムズ』に寄稿して大きな評判になり、それを読んだトム・クルーズから『ローリングストーン』誌のカバーストーリーのインタビュアーに指名された(その後、トム・クルーズはハリウッドのセレブが集まるサイエントロジーのパーティにもニールを招待した)。

ブリトニー・スピアーズをナンパする

PUAの知名度を上げ、自らも有名人の仲間入りをしたニールは、ミステリーや仲間たちとともにハリウッドに豪邸を借り、「プロジェクトハリウッド」と名づけて自分たちのメソッドをビジネスにしようとした。

この豪邸には一時期、ニールがインタビューで知り合ったコートニー・ラブ(グランジ・ロックの代表的なバンド「ニルヴァーナ」のボーカリスト、カート・コベインと結婚して一児をもうけたが、コベインの自殺のあとさまざまなトラブルを引き起こした)が転がり込んできたこともあった。

そんなめまぐるしい出来事のなかでも、ニールにとって大きな出来事はブリトニー・スピアーズへのインタビューだった。2000年代はじめだから、ブリトニーが20歳を過ぎてセクシー路線に転換し大成功した頃で、まさに「世界でもっとも有名な女」だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南山」、そして「ヘル・コリア」ツアーへ
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 7
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 10
    「こんなのアリ?」飛行機のファーストクラスで「巨…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中