最新記事

消費

新型コロナで増えた消費、減った消費──巣ごもり・デジタル需要は増加、外出型消費は大幅減

2020年5月26日(火)12時05分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

ファッションは全体的に支出額が減少している。巣ごもり生活では外出着を新調する必要も薄れる。また、新型コロナの影響によって卒入学式の中止・規模縮小が相次いだ影響もあるのだろう。一方で、生地・糸類の支出額は増加している。時間に余裕のある巣ごもり生活では裁縫をしたり、マスク不足の中で布マスクを作る消費者も増えているのかもしれない。

交通や教養娯楽でも需要が外から中へと移っている。鉄道運賃をはじめとした移動や旅行・レジャー関連支出は大幅に減少する一方、家の中で楽しめるゲームや書籍の支出額は増加している。

教育では、学習塾などの補習教育や学習参考教材などの支出額が増加しており、3月1日からの政府による全国一斉休校の要請によって、自宅での子どもの教育需要が増している様子がうかがえる。緊急事態宣言下では学習塾にも休業要請は出ているが、新たにオンライン授業やオンライン模試などに対応し始めた塾も多いようだ。

つまり、本来は外出型の消費行動でも、屋内型のサービス提供への切り替えが可能であれば、巣ごもり需要を上手く取り込めている領域もあるようだ。

2|デジタル需要の高まり──ネット通販、サブスク系デジタルサービス

「デジタル需要」としては、ネット通販やデジタルコンテンツ需要の高まりがあげられる。

ネット通販については、運送料の支出額が増加していることから、需要が高まっている様子がうかがえる。なお、3月の二人以上世帯のネット通販全体の支出額(インターネットを利用した支出総額:22品目計)は旅行関連支出の大幅減少によって、前年同月と比べて実質▲4.6%だが、食料品や飲料をはじめ多くの領域で支出額が増加している。外出自粛に加えて、非接触志向が高まっている影響もあるだろう。

また、音楽・映像・アプリや電子書籍などデジタルコンテンツの支出額が増加している。これらのデジタルコンテンツ配信サービスの多くは、月額定額で使い放題のサブスクリプションモデルであり、時間を持て余す巣ごもり生活と相性が良い。

なお、ネットを利用した購入では保険の支出額も増加している。これは非接触志向の高まりの影響もあるのだろうが、感染症リスクへの懸念から保障ニーズが高まっている可能性もある。ただし、保険種類等のデータは公開されていないため、他のデータもあわせて見る必要がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(17日配信記事)-日本株、なお魅力的な投資対

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中