最新記事
日本社会

ミスを認めないと、どうなるか...統合失調症を発症した姉と「間違えた」両親の20年が示す現実

2026年4月13日(月)16時35分
印南敦史 (作家、書評家)
統合失調症を発症した姉と家族の20年を追った話題の映画が、このたび書籍化された(写真はイメージ)

統合失調症を発症した姉と家族の20年を追った話題の映画が、このたび書籍化された(写真はイメージ) KieferPix-shutterstcok

<大きな話題を呼んだ映画『どうすればよかったか?』が書籍化。なぜ著者は自らの「家族の問題」を映像にしたのか>

2024年に、『どうすればよかったか?』が大きな話題を呼んだ。藤野知明監督が、統合失調症を発症した姉、そして両親のことを20年にわたって記録し続けたドキュメンタリー映画だ。

【予告編を見る】大きな話題を呼んだ映画『どうすればよかったか?』
『どうすればよかったか?』
先ごろ書籍化された『どうすればよかったか?』(藤野知明・著、文藝春秋)は、著者の言葉を借りるなら「映像では伝えられなかった部分を文字に」した作品である。

基本的には時系列で話が進んでいくが、その前段階として書かれた冒頭部分がやはり強烈な印象を残す。著者の8歳年上の姉に、統合失調症の最初の急性症状が現れたときの描写だ。


 私が高校二年生になった一九八三年の五月のことです。夕食を終えていつものように布団に入ると、当時二十四歳だった姉が突然叫び声を上げました。
 とても大きな声でした。姉のうわ言のような叫び声は止まらなくて、隣室にいた私は飛び起きるとすぐに母と相談し、救急車を呼ぶことにしました。
 けれどもどこに連れて行くかが問題で、母は単身赴任中の父に電話で相談しました。医師でもある父は知人がやっている精神科の病院に連れて行くように指示をしました。(12ページより)

そして翌日、父親が姉を病院から連れ戻してきた。その際には、精神科の先生が「(姉は)全く問題ない。むしろ精神病院に入院すると心の傷になる」と言ったと、著者に説明したのだという。

しかし著者は、その説明に違和感を覚える。医師ではなく、統合失調症と診断された人と接したこともなかったため反論もできなかったが、それでも「その説明には無理があるのでは?」という疑念が湧いてきたのだ。

地方自治体
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:3月米CPI急上昇、FRBに問われる利上

ワールド

英首相、ホルムズ海峡封鎖を支持せず 「完全開放に全

ワールド

独連立政権、消費者・企業向け燃料高騰対策発表 19

ワールド

防衛装備「5類型」撤廃、自民が政府方針を了承 月内
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 2
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 5
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目の…
  • 10
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中