今度は「グリンダが主人公」...『ウィキッド』後編の魅力はシリアスな展開と「魔女コンビ」の圧倒的歌唱力
Angelic Voices of Wicked
対するエリボは「ノー・グッド・ディード(闇に生きる)」のソロが圧巻。翼の生えたサルたちを従えて、「悪者」として生きる覚悟をパワフルに表明する。
第1幕でフィエロ王子をとびきりチャーミングに演じたベイリーは、今回ははつらつと振る舞うグリンダの横で暗い顔をしているしかない。だがピープル誌が25年の「最もセクシーな男」に選んだイケメンだけあって、やがて森の中の隠れ家でシャツを脱ぎ捨て、エルファバと愛を誓う。
竜巻に巻き込まれた少女ドロシーも姿を見せ、ストーリーはいよいよ1939年の映画『オズの魔法使』(およびライマン・フランク・ボームによる原作小説)と交差する。
おなじみのキャラクターたち──脳みそが欲しいかかし、臆病なライオン、心臓(温かい心)が欲しいブリキの木こり──の誕生秘話にも、かなりの時間が割かれる。しかしそうした描写は細部にこだわりすぎて、物足りない。
『永遠の約束』が前作『ふたりの魔女』に及ばないのは確かだ。それでも終盤、エリボとグランデが最後の別れを前に「フォー・グッド」を歌い始めた瞬間、失望はグリンダの乗るピンクのシャボン玉のようにはじけて消える。
2人は絶妙なハーモニーで、人生を変えた波乱の友情への思いを切々と歌う。計5時間近く特殊効果満載のファンタジーを見て疲れた観客も、この天使の歌声と人間味あふれる感情表現にはきっと涙が止まらない。ミュージカルの魔力を証明する名場面だ。





