アマゾンが7500万ドル投入...メラニア・トランプの映画が「空虚」すぎる理由

On Seeing “Melania”

2026年2月19日(木)17時22分
ヘザー・シュウィドル (スレート誌記者)

個人崇拝が目的であれ、何かを売り込むのがプロパガンダ映画だ。現代カルチャーの消費者にとって、デービッド・ベッカムやビヨンセなど有名人のドキュメンタリー風プロパガンダはおなじみの存在で、どれも偉人伝のように対象を理想化する。だが『メラニア』は別ものだ。偉人伝として全く機能していない。

本作はあまりに中身がない。意図も視点も皆無で、緊張感が漂うのは、メラニアの衣装の手直しが大統領就任式に間に合うかという場面だけ。残念ながらいつもどおり存在感たっぷりのドナルド・トランプと、実写版ディズニー映画のおべっかキャラのようなデザイナーを除けば、記憶に残る人物も出てこない。


メラニアは世間に誤解されていることに悩んでいる、とよく言われる。誤解を正す大きなチャンスを手にした彼女は、重大なメッセージを伝えることにした。自分は仕事熱心で、家族思いで、着るものにこだわっていて、アメリカを愛していて、夫との会話はなくもない、と。

本作のブレット・ラトナー監督は2017年、複数の女優から性的嫌がらせなどで告発され、失墜した。そんな人物を擁護する気はないが、娯楽大作の作り方を心得ていた監督なのは確かだ。こんな映画を手がけることを、どこかで恥じているに違いない。

メラニアはスロベニアから移住し、モデルとして成功した。普通のセレブ系ドキュメンタリーなら感動狙いで大げさに取り上げるはずの歩みだが、本作はほぼ触れない。メラニアはひたすら無表情で、人格がないか、自分を見せる気がないとしか思えない。

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