スポーツでの脳震盪が「鬱や自殺」に繋がることも...選手の脳を守る「血液検査」の可能性

TACKLE THE ISSUE AHEAD OF THE GAME

2024年12月25日(水)15時26分
ジョー・コズラウスキー、パンドラ・デワン(いずれも本誌記者)

タゴバイロアの負傷に対応するスタッフ

タゴバイロアの負傷に対応するスタッフ。NFLの試合では専門のトレーナーが事故を監視している MEGAN BRIGGS/GETTY IMAGES

これはNFLだけの話ではない。例えばNHL(北米プロアイスホッケーリーグ)は、相手チームの選手に後ろから体当たりする行為や頭部への打撃を根絶しようとしている。

サッカー界でも、頭部のけがが疑われる選手に対して「脳震盪による選手交代」が通常の交代枠とは別に認められるようになった。子供たちのヘディングを制限する動きも広がっている。

脳震盪を含む外傷性脳損傷は、スポーツの世界でもそれ以外の場所でも珍しくない。アメリカでは、外傷性脳損傷が原因の救急搬送が年に480万件に上る。


適切な治療と支援がないと、脳震盪は記憶障害や人格変容、睡眠障害、心の問題、認知症などの神経変性疾患といった長期的な影響を残す可能性がある。頭部への衝撃が繰り返される場合は、なおさらだ。

問題は、プロの選手だけにとどまらない。ダートマス大学のアメフトチームで活躍していたパトリック・リシャ(Patrick Risha)がいい例だ。「私たち家族は2014年、パトリックを自殺で失った」と語るのは、母でパトリック・リシャCTE啓発財団(Patrick Risha CTE Awareness Foundation)の代表を務めるカレン・ジーゲルだ。

「当時は自分たちが抱えている問題の正体が分からなかった。息子には鬱やADHD(注意欠陥・多動性障害)、依存の問題、不安、睡眠障害の明らかな症状があったが、スポーツをやっていたせいだとは思いもしなかった。CTE(慢性外傷性脳症)のことも、脳を調べたほうがいいと言われて初めて知った」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU、気候変動悪化への備え不十分 諮問委が投資強化

ワールド

トランプ政権の駐南ア新大使が着任、関係改善模索へ

ワールド

コロンビアGDP、25年は2.6%増 予想下回る

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、足元はマイナス圏 主力株
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中