最新記事
俳優

押し付けられた「王子様キャラ」を打破! クリス・パイン初監督作の主人公は「ほぼ僕自身」

I’m No Prince

2024年7月18日(木)12時21分
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)
クリス・パイン

ロサンゼルスは「かなわなかった夢」の街でもあるとパインは言う ALBERTO E. RODRIGUEZ/GETTY IMAGES

<心からの望みは「野球選手か『トップガン』のマーヴェリックになることだった」というパインが、映画『プールマン』で主演・監督・脚本を務めたきっかけは?──(インタビュー)>

ハリウッドに期待されていることが、自分のやりたいことと全く違ったらどうする? クリス・パインの場合、ずれた期待を打ち破ろうとした答えが、映画『プールマン』(5月10日全米公開)だ。

「信じてもらえないかもしれないけど、今までで最も自分をさらけ出した作品なんだ」と、パインは言う。そうだろう。パインは、愛するロサンゼルスの街とプールを守ることを使命と考える騒々しいプール清掃人のダレン・バレンマンを演じたばかりか、自ら監督・共同脚本も担当した。


アイデアの源泉は、パイン自身の喜びの探求にある。

「コロナ禍の頃、個人的な問題がたくさん出てきて、いろんなことを感じていた。そのとき、『どうして心のままにやれないんだ? 本能のまま、喜びと笑いとカタルシスにあふれることを、ポジティブに楽しくやればいいだけじゃないか』って強く思った」

この映画を見た人は同じように感じるだろう。パインには、それが重要なことだ。

「いま世界には怒鳴り声があふれている。ほんの一瞬でも黙って、相手に時間をあげられれば、もっと喜びが生まれるかもしれない」。本誌H・アラン・スコットが聞いた。

◇ ◇ ◇


──『プールマン』の脚本と監督を担当することは、どんな経緯で決めた?

ほぼ直感だった。これまで僕が心から望んだのは、野球選手になることと、『トップガン』の主人公マーヴェリックになることだったけど、どちらもかなわなかった。今回はこの映画を作ることを運命だと感じて、そのことしか考えられなかった。

──まさにロサンゼルスへのラブレターのような作品だ。

僕はハリウッドにつくられた。俳優一家の3代目さ。この街は僕と家族に多くのものを与えてくれた。同時にとても悲しい街だ。かなわなかった夢が積み重なっているから。

──ハル・アシュビー監督の『チャンス』に似た感じもあるが、インスパイアされた?

そう、『チャンス』に強く突き動かされて生まれた。あの映画は甘くて繊細なんだけど、だんだんと深い井戸に入っていく。それが僕のやりたかったこと。最初に感じた印象と全く違う映画だと気付いてもらえる作品にしたかった。

──あなた自身の中に主人公のダレンはどれくらいいる?

ダレンは僕が思っている自分に近いし、これまで演じたどの役よりも近い。この業界に入ったとき、周りは僕を王子様キャラとして売り始めたけど、そのイメージは僕から最も遠かった。僕がどんな人間か知りたければ、『プールマン』を見てほしいな。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中