最新記事

朝ドラ

史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ドラ「ちむどんどん」、沖縄県民が挙げた問題点とは

2022年8月8日(月)12時00分
東野りか(フリーランスライター・エディター) *PRESIDENT Onlineからの転載
沖縄のさとうきび畑

朝ドラ「ちむどんどん」の舞台となった沖縄のさとうきび畑 *写真はイメージです。manbo-photo - iStockphoto


NHKの朝ドラ「ちむどんどん」の視聴率がなかなか上がらない。なぜ人気がないのか。沖縄県民に取材したフリーランスライターの東野りかさんは「安室奈美恵さん、『ちゅらさん』で沖縄の地位は上がったのに、今回の作品で、沖縄県人は(番組制作をしている)本土の人に侮辱されているように感じているようだ」という――。


胸がどんどん(ワクワク)しない「ちむどんどん」

「もはや放送事故」
「貴重な受信料の無駄使い」
「ドラマのタイトルが"胸がどんどん(ワクワク)する"という意味なのに、全くどんどんしない」

NHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ、以下同)の「ちむどんどん」が、ネット上などで散々な評価を受けている。

視聴率はなかなか改善の兆しが見えず、朝ドラ史上最低に迫る勢い(※)。この朝ドラを見てモヤモヤした後に、ツイッターの「ちむどんどん反省会」の投稿を読んでスカッとするという、視聴者のねじれ現象も発生中だ。

※現在の「ちむどんどん」世帯平均視聴率は14~16%台で推移(ビデオリサーチ調べ/関東地区/以下同)。

ヒロイン比嘉暢子(ひがのぶこ)を演じる黒島結菜を筆頭に、仲間由紀恵、大森南朋、上白石萌歌、川口春奈、宮沢氷魚など出演俳優陣には厚みと新味があり、脚本家は人気の朝ドラ「マッサン」を描いた羽原大介と不安材料は見当たらない。

なのに、どうしてこんなに面白くないのか? ドラマの舞台である沖縄県民の声を交えながら検証したい。

"安室"と"ちゅらさん"で沖縄の地位は上がったのに

朝ドラを見ていない人のために、ストーリーの概要を簡単に解説しよう。

沖縄北部のやんばる地域で生まれた、主人公の比嘉暢子。父を早くに亡くし、4人の子供を女手一つで育てる母を支え、幼い頃から家族の食事作りを担当。「世界中のおいしいものを食べたい、作りたい」という夢をかなえるために、沖縄が本土に返還された1972年5月15日に上京して、人気イタリア料理店で料理人見習いとして雇われる。暢子の成長と恋愛、食への思いを描いたストーリーだ。

現在、"やんばる"地域に近い島嶼地域に住む30代のA子さんはこう話す。

「本土復帰50周年というタイミングで放送される朝ドラだから、最初の頃の沖縄県民は結構期待していました。"した"とすでに過去形なんですけど(苦笑)。今は、"ながら見"で、たまにきちんと見る程度です」

歴代の朝ドラウオッチャーでもあるA子さんは続ける。

「安室奈美恵さんの活躍、朝ドラ『ちゅらさん』(2001年度上半期に放送)の成功のおかげで、沖縄の存在は日本中に認知されたし、県民の地位も上がったと思うんです。それまでウチナンチュ(沖縄人)は、ヤマトンチュ(本土の人間)からどこか下に見られていました。『ちむどんどん』が描く沖縄の人間像は、その下に見られる時代に舞い戻っているようで、不快な部分もあります」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、方向感欠く取引 来週の日銀

ビジネス

米国株式市場=3指数下落、AIバブル懸念でハイテク

ビジネス

FRB「雇用と物価の板挟み」、今週の利下げ支持=S

ワールド

EU、ロシア中銀資産の無期限凍結で合意 ウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中