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史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ドラ「ちむどんどん」、沖縄県民が挙げた問題点とは

沖縄のさとうきび畑

朝ドラ「ちむどんどん」の舞台となった沖縄のさとうきび畑 *写真はイメージです。manbo-photo - iStockphoto


NHKの朝ドラ「ちむどんどん」の視聴率がなかなか上がらない。なぜ人気がないのか。沖縄県民に取材したフリーランスライターの東野りかさんは「安室奈美恵さん、『ちゅらさん』で沖縄の地位は上がったのに、今回の作品で、沖縄県人は(番組制作をしている)本土の人に侮辱されているように感じているようだ」という――。


胸がどんどん(ワクワク)しない「ちむどんどん」

「もはや放送事故」
「貴重な受信料の無駄使い」
「ドラマのタイトルが"胸がどんどん(ワクワク)する"という意味なのに、全くどんどんしない」

NHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ、以下同)の「ちむどんどん」が、ネット上などで散々な評価を受けている。

視聴率はなかなか改善の兆しが見えず、朝ドラ史上最低に迫る勢い(※)。この朝ドラを見てモヤモヤした後に、ツイッターの「ちむどんどん反省会」の投稿を読んでスカッとするという、視聴者のねじれ現象も発生中だ。

※現在の「ちむどんどん」世帯平均視聴率は14~16%台で推移(ビデオリサーチ調べ/関東地区/以下同)。

ヒロイン比嘉暢子(ひがのぶこ)を演じる黒島結菜を筆頭に、仲間由紀恵、大森南朋、上白石萌歌、川口春奈、宮沢氷魚など出演俳優陣には厚みと新味があり、脚本家は人気の朝ドラ「マッサン」を描いた羽原大介と不安材料は見当たらない。

なのに、どうしてこんなに面白くないのか? ドラマの舞台である沖縄県民の声を交えながら検証したい。

"安室"と"ちゅらさん"で沖縄の地位は上がったのに

朝ドラを見ていない人のために、ストーリーの概要を簡単に解説しよう。

沖縄北部のやんばる地域で生まれた、主人公の比嘉暢子。父を早くに亡くし、4人の子供を女手一つで育てる母を支え、幼い頃から家族の食事作りを担当。「世界中のおいしいものを食べたい、作りたい」という夢をかなえるために、沖縄が本土に返還された1972年5月15日に上京して、人気イタリア料理店で料理人見習いとして雇われる。暢子の成長と恋愛、食への思いを描いたストーリーだ。

現在、"やんばる"地域に近い島嶼地域に住む30代のA子さんはこう話す。

「本土復帰50周年というタイミングで放送される朝ドラだから、最初の頃の沖縄県民は結構期待していました。"した"とすでに過去形なんですけど(苦笑)。今は、"ながら見"で、たまにきちんと見る程度です」

歴代の朝ドラウオッチャーでもあるA子さんは続ける。

「安室奈美恵さんの活躍、朝ドラ『ちゅらさん』(2001年度上半期に放送)の成功のおかげで、沖縄の存在は日本中に認知されたし、県民の地位も上がったと思うんです。それまでウチナンチュ(沖縄人)は、ヤマトンチュ(本土の人間)からどこか下に見られていました。『ちむどんどん』が描く沖縄の人間像は、その下に見られる時代に舞い戻っているようで、不快な部分もあります」

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