最新記事

映画

悪の錬金術師が帰ってきた

23年ぶりの続編『ウォール・ストリート』でオリバー・ストーンが描く金融危機

2011年1月20日(木)10時39分
デーナ・スティーブンズ(脚本家)

帝王の復活 刑務所を出たゲッコーが、危機に見舞われた金融界に戻ってくる(2月4日公開) © 2010 TWENTIETH CENTURY FOX

 オリバー・ストーン監督は、映画になりそうなニュースを見逃さない。9・11テロを描いた『ワールド・トレード・センター』(06年)や、ジョージ・W・ブッシュ前米大統領の伝記映画『ブッシュ』(08年)はアメリカ政治史に残るであろう最近の出来事を題材にしている。

 そんなストーンが08年の金融危機を映画にしないことは、悪徳な投資家が企業の内部情報を見過ごすのに等しい。またとないチャンスとばかりに、彼は87年のヒット作『ウォール街』の強欲な主人公ゴードン・ゲッコーをよみがえらせた。

 ご存じのように、ストーンは陰影に富んだ物語の作り手ではない。観客が彼の作品に求めるのは、不快なほどアクの強い教訓や過激な陰謀にあふれ、カタルシスを味わえる娯楽大作だ。

『ウォール街』の23年ぶりの続編である『ウォール・ストリート』は欠点も多い。要素を詰め込み過ぎでストーリー展開がぎこちなく、魅力的な悪人を主人公として描く手法も定まっていない。それでもなお、たっぷり楽しめてカタルシスに浸れる作品に仕上がっている。...本文続く

──ここから先は1月19日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年1月26日号をご覧ください。
<デジタル版のご購入はこちら
<iPad版、iPhone版のご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

他にも
■カバー特集「胡錦濤の頭の中」
■「スマートフォン戦争はiPhoneの負け」など、読み応え満点です。
<最新号の目次はこちら

[2011年1月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハマスに警告 合意違反継続なら「残忍な

ビジネス

米ワーナー、完全売却の可能性検討 複数の企業が買収

ワールド

ガザ停戦計画は予想以上に順調、米副大統領 イスラエ

ワールド

米ロ首脳、「即時」会談の予定なし=ホワイトハウス高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中