最新記事

投資の基礎知識

追加利下げも近い? FRBの金融政策が日本の株価に与える影響とは

2019年8月23日(金)16時49分
山本将弘 ※株の窓口より転載

●2018年12月:政策金利の引き上げ

最近でアメリカの政策金利が変動したのは、2018年12月のこと。FF金利がそれまでの2.25%から2.5%に引き上げられました。2018年の初めには1.5%だったFF金利が、年4回にわたって上昇。金利の引き下げを強く望んでいたトランプ大統領に、半ば反発する形での引き上げでした。

この発表を受けて株式市場は大きく反応。日経平均株価は、それまで保ってきた2万円台の節目を割り込みました。しかし、翌年1月の中旬には持ち直し、その後は緩やかに上昇していくことになります。

kabumado190823frb-chart2.png

(Chart by TradingView

ニュースに振り回されないために

たしかに、アメリカの金融政策は日本市場へも影響します。しかし実際には、FOMCの決定内容そのものが株価を動かすのではなく、「それを市場参加者がどう判断したか」が値動きとなって表れているに過ぎません。

アメリカ経済の動向は日本でも大きく取り上げられるため、それが日本株にどう影響するのか気になるところですが、一般にいわれている「株価に影響する出来事」が起こったとしても、必ずしも定説どおりに株価が動くわけではありませんし、まったく反応しないこともあり得ます。

重要な情報ではありますが、ニュースだけに振り回されるのではなく、そこからどんなことが考えられるのか、市場はどう受け取るだろうか、といった想像を働かせるための材料として活用したいものです。そうした積み重ねが、株をより深く理解する一歩になるのだと思います。

[筆者]
山本将弘(やまもと・まさひろ)
フリーランスライター。将来の備えとリスクヘッジのために、セブンポケットを目指して奮闘中。取り組みの一つとして、ライター業のかたわらトレードの勉強をしています。さまざまなテーマをわかりやすく解説していきますので、一緒に頑張りましょう!

※当記事は「株の窓口」の2019年7月29日の記事の転載です
kabumado_logo200new.jpg


20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。


ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米国版の半導体の集積拠点、台湾が「協力分野」で構想

ワールド

アフガン北部でM6.3の地震、20人死亡・数百人負

ワールド

米国防長官が板門店訪問、米韓同盟の強さ象徴と韓国国

ビジネス

仏製造業PMI、10月改定48.8 需要低迷続く
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 7
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中