最新記事

投資の基礎知識

ビットコインを買った真面目な税理士の末路

2017年10月5日(木)16時39分
川島寛貴 ※株の窓口より転載

ビットコインは投資対象となり得るのか?

2週間ほどで30%強も下落する金融商品を「正しい投資対象」と見られるのか、という話は別の機会にしたいと思います。しかしビットコインは、「素人」が無防備に参加して勝てるような初心者向けのマーケットとは真逆のマーケットであり、あまり言及されることのないリスクも当然潜んでいます。

わかりやすいリスクをひとつ挙げるなら「信託保全」です。法整備が進むにつれて解決されていくとは思いますが、2017年9月25日時点では、ビットコインの取引業者で「信託保全」がされている会社はないと思います。

たとえばFX会社は「証拠金の全額信託保全」が義務化されており、みなさんが投資用に預けた資金は、その会社が倒産しても戻ってきます。しかしビットコインの場合、たとえ取引する会社に数十億の資本金があったとしても、なんらかの理由によって倒産してしまった場合、預けているお金はゼロになるということです。

ビットコインの取引は、このリスクを理解した上での資金管理が必要な、極めて上級者向けのマーケットなのではないかと思います。リスク&リワードという表現がありますが、リスクに見合った最低限の利益を確保しなくてはなりません。

トレードの技術は普遍

真面目な税理士がビットコインを買ったことから、バブル崩壊の歴史を繙き、ビットコインのリスクについてお伝えしました。しかしながら、この混沌としたマーケットにも唯一普遍の事実がある、ということも覚えておいてください。

「変動」があるところにトレーダーは集まります。株が動かなければ為替へ。為替が動かなければコモディティ(金)へ。そしていま激しく変動し、税制も整備されていないビットコイン(仮想通貨)へ。

その「変動」は、人の「上がる(だろう)」「下がる(はず)」といった「思い」によって形成されています。最近ではアルゴリズム・トレード(プログラムされたシステムトレード)も影響力を持ちつつありますが、設計しているのは人です(いまのところ)。そして、そうした人の「思い」を可視化したものが「チャート」です。

だから、チャートを読み解くためにトレーダーはトレンドラインを引き、チャート形状を分析し、ローソク足の位置を把握し、日柄を数えます。つまり、ローソク足が誕生した江戸時代から現代に至るまでトレードの技術は普遍であり、チャートはいつだって活用できる「マーケットの地図」なのです。

真面目な税理士に共感したあなたへ

これから株式投資や為替(FX)、そしてビットコインなどの仮想通貨をはじめようとしている方には、ぜひとも金融や投資・トレードといった基礎を勉強したあとに「リング」に上がってほしいと思います。

マーケットは戦場、戦う相手はプロです。そう、ただクリックするだけで参加できますが、あなたが立っているところは紛れもなく「戦う場所=リング」なのです。

「それじゃ間に合わない!」「いますぐ買わなきゃ!」と焦っているあなたへ。マーケットは逃げも隠れもしません。

価格は永久には上がり続けません。しっかりと学んでから参加しても十分間に合います。無駄な損失を出す必要なんてありません。遅すぎるなんてことは決してないのです。いまから一から勉強し、万全の状態でリングに上がりましょう。

(参考記事)「投資」と「トレード」は別物 あなたが負け続ける理由が、ここにある

[筆者]
川島寛貴[かわしま・ひろたか]
「みんなの株式(みんかぶ)」創業メンバーとして、多くの億トレーダーやアナリストから豊富な知識とテクニックを吸収。投資アドバイザーとしてセミナー講師などもこなす、通称「為替王子」。「ワールドビジネスサテライト(WBS)」、「よるべん」(TBS)、日経CNBCほかメディア出演多数。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

焦点:企業決算、日本株高再開の起爆剤か 割高感に厳

ワールド

人口減少は日本の最大の戦略課題=有識者の提言で林官

ワールド

インドネシア中銀、予想外の0.25%利上げ 通貨下

ワールド

米議会の対外支援法案可決、台湾総統が歓迎 中国反発
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中