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AIでジェンダー格差は加速?

GENDER BIAS: REBOOTED

2026年4月13日(月)16時30分
ボリス・グロイスバーグ(ハーバード大学経営大学院教授)、コリーン・アマーマン(ハーバード大学経営大学院ジェンダー・イニシアチブディレクター)
PHOTO ILLUSTRATION BY NEWSWEEK; SOURCE PHOTOS: INARIK/GETTY IMAGES, MACIEK905/GETTY IMAGES

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<根強い男女格差をAIが広げてしまう懸念、女性リーダーの調査が浮き彫りにした課題は>


▼目次
AIのジェンダー観を危惧
社会に存在する偏見を反映

女性のリーダーは今後も増えるのか。指導的立場の女性たち自身はそれほど楽観視していない。米ハーバード・ビジネススクール(ハーバード大学経営大学院)女性リーダー育成・幹部教育プログラム参加者を対象に、筆者らが行った調査では、ビジネス分野や社会全体ではこの約1年間、性差別の解消がほとんど進んでいないとの認識が浮かび上がった。

さらに、女性リーダーは生成AIによる変革に期待しているものの、関連するリスクも強く意識している。最たる例が、社会に根深く巣くうバイアスのリスクだ。対策に取り組まなければ、ジェンダー不平等などの弊害が固定化しかねない。

調査を実施した昨年後半時点で、国レベルのジェンダー平等度は1年前と比べて低下していると回答した人の割合は40%を超えた。度合いが向上していると考える女性の割合を30ポイント以上、上回っている。

労働分野のジェンダー平等度への評価はさらに低く、状況が改善したと回答した女性はより少ない。本人が所属する組織や企業に限れば、見方はより肯定的だが、それでも30%以上が度合いが低下したと考えていた(向上したという人は20%未満)。

個人的な不満と片付けてはならない。調査対象者はいずれも組織トップに上り詰めた女性だ。強固なリーダーシップパイプラインの構築を目指す企業は、彼女たちの悲観的見解を警鐘として受け止める必要がある。

より広範な経済に警告サインが出ている現状では、特にそうだ。米労働統計局の最近の調査では、アメリカでは女性の離職者が男性より多く、男女間の賃金格差は拡大している。

ジェンダー平等の後退が現実なら、まさに最悪のタイミングと言えるだろう。AI技術の急速な拡大は労働の在り方を変え、あらゆる部門や職種に激変が訪れようとしている。こうした変化の性別による影響の違いについて、研究は始まったばかりだ。

現時点では、懸念すべき結果が判明している。一部の研究によれば、仕事でAIを訓練・利用する機会は全般的に女性のほうが少ない。自動化の影響を最も受ける事務・管理業務の従事者は、圧倒的に女性が多いというデータもある。

筆者らの調査の自由回答では、失業の脅威が女性にとって特に問題だと大勢の人が強調した。その一方、AIが女性のキャリアに与える影響への見方は多面的だ。回答者らの所属組織の大半は大規模にAIを導入しており、大多数が個人的業務でも、少なくとも時々AIを利用している。AIは自社の従業員にとっても、自身のキャリアにも利益になると考える人が過半数で、特に効率性や生産性の向上に期待する声が強かった。

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