最新記事
米経済

2025米国経済、成長と雇用の「ねじれ現象」──人を雇うよりひたすら技術に投資する新たな法則

https://www.newsweek.com/great-decoupling-why-americas-economy-booming-without-jobs-11268302

2025年12月26日(金)07時20分
ヘスス・メサ
2025年クリスマス・イブのショッピングセンター

富裕層以外の消費は盛り上がらないまま(2025年クリスマス・イブのショッピングセンター、サウスカロライナ州アンダーソン) USA TODAY Network via Reuters Connect

<AIと自動化が加速し、大企業だけが先を走る。中小企業と労働者が取り残される米国経済の歪みが、2025年の終わりに鮮明になった>

米国経済は2025年末、まるで「二つの国」のような様相を呈している。生産が急拡大する一方で、雇用は停滞している。この現象は一時的なものではなく、次にやってくる経済の形を示している──と経済学者は警告する。

米商務省が12月に発表した第3四半期のデータは、その「ねじれ現象」を端的に物語っている。経済成長率は年率換算で4.3%と、過去2年間で最速のペースを記録したが、月ごとの新規雇用数は平均5万1000人にとどまった。


◾️GDP成長率
newsweekjp20251225132131.png

◾️失業率
newsweekjp20251225132149.png


かつては同方向に動くと考えられていたこの2つの指標が、今や逆を向いている。ニューヨーク大学スターン経営大学院の経済学者ローレンス・ホワイトは、この乖離は「構造的な変化」だと指摘する。

「経済は、あまり人を雇わなくても拡大できる構造に移行している」と、ホワイトは本誌に語った。「いま我々が構築しているのは、雇用の伸びを上回るスピードで回るシステムだ。これは短期的な現象ではなく、長期的なシフトだ」

この変化は数字にも表れている。個人消費は3.5%増加し、成長の半分以上を占めたが、支出の多くは高所得層によるものだった。自動化や人工知能(AI)への投資も成長を大きく押し上げていると、コンサルティング会社RSMのチーフエコノミスト、ジョセフ・ブルセラスは分析する。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、ナイジェリアでイスラム過激派空爆 「キリスト教

ワールド

政府、26年度予算案を閣議決定 過去最大122兆円

ビジネス

都区部CPI、12月は+2.3%に大幅鈍化 エネル

ビジネス

鉱工業生産11月は2.6%低下、自動車・リチウム電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中