「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗り越えてきた奇跡と「様相が一変した」理由
人口減少は今に始まったことではない。なぜ今、人手不足が顕在化しているのか。どこで人手不足が起こっているのか(写真は本文と関係ありません) Princess_Anmitsu-shutterstock
<「不法滞在者が増え、犯罪を犯している」「外国人が日本の年金・医療にただ乗りしている」などと騒がれるが、実際はどうなのか。雇用の専門家である海老原嗣生氏が、日本の労働市場の現状から、外国人労働者をめぐる制度の仕組み、課題までを扱った新刊『外国人急増、日本はどうなる?』(PHP新書)より一部を抜粋する>
非ホワイトカラー職務で絶望的な人手不足が起きている
「外国人なんて日本には要らない」「企業が安い人件費で儲けるために外国人を雇っているだけだ」。こうした話が声高に叫ばれています。確かに過去にはそういう側面があったことは否めないでしょう。ところが現在は、全く様相を異にしています。

製造・建設・サービス・販売・宿泊業などの非ホワイトカラー職務では、もうどうしようもないほどの、過去とは次元の異なる人手不足が起きています!
【海老原嗣生氏に聞く】YouTube対談を見る
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確かに日本は2010年(統計の取り方によっては2008年)から、もう15年も人口減少が続いています。15~65歳までのいわゆる働き盛りの年齢(=生産年齢)層においては、すでに1995年がピークとなり、その後30年も人口減少が続いてきました。
にもかかわらず、つい最近まで、どうにかこうにか日本の産業界は、それを乗り越えてきた。だから、「今後も、何とかなるだろう」と思う人が多いのもわからないことではありません。
ただ、2020年を過ぎたあたりから様相は一変しました。その人手不足感は、国家を挙げて対策を打たねばならないほどです。もちろん、それをすべて外国人の労働で解決するというのは暴論でしょう。
たとえば自動化・省力化などを進めること。もしくは、生産性の低い企業に退出してもらい、残った生産性の高い企業で合理的な経営を進めること。雇用延長をして、65歳を超えても長く働けるようにすること。こうした対策を総動員して、ようやく乗り切れるかどうか、というところまできているのです。
ここでは、「今、日本が置かれている状況」について、整理していくことにしましょう。






