コメ価格5キロ4000円時代を容認? 鈴木農相の「減反維持」発言に見る農政の後退
消費税の逆進性
消費税については、「逆進性」が問題とされてきた。所得の低い人も高い人も、生きていくためには、飲食料品を消費しなければならない。飲食料品は必需品の最たるものである。
しかも、胃袋は同じ大きさなので、飲食料品の消費量は、所得の低い人も高い人も大きくは変わらない。所得の高い人は、食べる量が同じであっても、贅沢な食材を使ったり、高級レストランに通ったりするかもしれない。しかし、可処分所得が高いので、それに占める飲食料品支出の割合は、貧しい人に比べ、少ない。
つまり、所得に応じて累進的に税率が高くなる所得税に比べ、所得の低い人も高い人も、同じように飲食料品などの必需品には支出するので、飲食料品の価格を消費税で高めれば、所得の低い人の負担がより高いことが問題とされてきた。これが逆進性の議論である。
消費税より深刻な「農政の逆進性」
しかし、飲食料品の価格を高くすることによる逆進性は、消費税だけの問題ではない。農政の逆進性の方がはるかに重大なのだ。
消費税の対象は飲食料品すべてである。これには主食であるコメなどの必需品だけでなく、キャビアや高級ワインなど所得の高い人が購入する奢侈品も含まれている。奢侈品について消費税を課しても逆進性の問題があるという人はいない。
貧しい人は買わないからだ。必需品より奢侈品の方が単価は高い。飲食料品の消費税をゼロにすれば所得の高い人の負担が軽減されるだけでなく、貧しい人のための政策に必要な税収も失われる。
これに対して、農政の対象は飲食料品すべてではなく、国内農業で政治的に重要な農産物に限られる。具体的には、コメ、小麦、牛乳・乳製品、豚肉、牛肉、砂糖だ。これらは、TPP交渉で関税撤廃の例外とし、それができなければ交渉から離脱すべきだと、衆参の農林水産委員会で決議された品目である。
これらは国内農業上重要なだけでなく、ほとんどの国民が購入する必需品である。農政は、国内農業保護のために、これら農産物の価格を、関税や減反で高くして、消費者に負担させてきた。日本の農業保護は欧米に比べて著しく高いが、その7~8割はこれらの品目について消費者が負担している高い価格である。
つまり、消費者は高い価格を払うことで農家に所得移転しているのだ。農家は貧しくない。畜産農家のかなりは2000万円ほどの所得がある。また、最近の高米価で、50ヘクタール規模のコメ農家の年間所得は1億円にも達する。貧しい消費者が高いコメを買うことで裕福な農家の所得を賄っている。これは格差拡大政策だ。
国内農業が生産しているものでも、これ以外の野菜、果物、卵、鶏肉については、政府が価格を高めて保護するということはない。また、国民の多くが消費する輸入品についても、キャビアや高級ワインなどはもちろん、バナナ、キウイ、トウモロコシ、大豆なども政策で高価格にしているのではない。
消費税の場合は飲食料品全てが対象となるのに対して、農政はコメなど必需品の価格を高めているのであり、逆進性は極めて高い。
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