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「統計局長解任」でアメリカ経済に暗い影、トランプは統計も自己都合で操作する―― ネイト・シルバー

Donald Trump 'In Denial' About Job Figures, Economy—Nate Silver

2025年8月4日(月)13時52分
ピーター・アトキン
トランプ

帝王化していくトランプ(7月24日、ペンシルバニア州の空港で記者会見) REUTERS/Ken Cedeno

<政権に不利な就業者数の下方修正は「不正操作」だと憤慨、独立性が重要な統計局長の首をすげ替えることに>

世論調査分析サイト「ファイブサーティエイト」創設者で統計学者のネイト・シルバーは、2025年8月3日に公開したニュースレターで、最新の雇用統計は「操作されている」としたドナルド・トランプ大統領を批判した。シルバーは、トランプが「否認主義」に陥っており、それがアメリカ経済減速の解決には何の助けにもならないと指摘する。

また労働統計局(BLS)が予想を下回った7月の雇用統計を発表した直後、トランプがエリカ・マクエンターファーBLS局長を解任したことについて、「局長を解任しても関税の影響は防げない。それどころか、アメリカの経済的リードを損ない、企業、労働者、投資家にとっての不確実性を大きくするだけだ」とシルバーは述べた。

シルバーは、アメリカの経済データは、「極めて複雑なアメリカの現代経済を測定するという困難な作業」を達成するため精緻に記録・改訂されており、信頼性は維持されていると強調した。

「この解任劇がトランプ関連の"騒動リスト"のどこに位置づけられるかは正直よく分からない」としながらも、「仮に議会が正常に動いて、マクエンターファーの後任に有能な人物が就いたとしても、BLSや他の独立行政機関の自律性を脅かす冷却効果は避けられない」と懸念を示している。

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