アフリカ地域決済システム「PAPSS」とは何か? 決済コストが激減、課題は「トランプリスク」
シラキュース大学(ニューヨーク)のダニエル・マクドウェル教授は「アフリカにとって総じてドル(決済)を基本とする現行の金融ネットワークは効率が悪く、コストがかさむ」と指摘する。
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PAPSSのデータからは、コルレス銀行経由の決済ではアフリカ諸国間の貿易コストは取引額の10-30%に達するが、PAPSSに移行すれば1%にとどまることが分かる。
例えばPAPSS利用の場合、ザンビアの企業がケニア企業からの製品購入する取引の際にも、買い手と売り手双方とも自国通貨で決済し、わざわざドルに転換する手間が省ける。
オグバル氏はロイターに、ナイジェリアやガーナ、南アフリカなどの通貨をアフリカ諸国間の貿易決済に使えば、年間で50億ドル相当のハードカレンシーを節約できると説明した。
PAPSSは2022年1月の立ち上げ当時、わずか10行の商業銀行が参加しただけだったものの、現在ではザンビア、マラウィ、ケニア、チュニジアを含む15カ国に広がり、150行が加入している。
オグバル氏は「われわれの取引は非常に大きく成長している」と胸を張った。
一方世界銀行グループの国際金融公社(IFC)は、アフリカ企業に対して自国通貨建てローンの供与を開始している。
IFCのアフリカ担当バイスプレジデント、エティオピス・タファラ氏は、アフリカ企業をドル借入に伴う通貨リスクから救うことが、彼らの成長にとって不可欠なため、そうした措置を打ち出したと述べた。