アフリカ地域決済システム「PAPSS」とは何か? 決済コストが激減、課題は「トランプリスク」
<G20で土台整備>
アフリカの地域決済システム推進の取り組みは、20カ国・地域(G20)の議長国となっている南アフリカの下で土台が整えられている。
南アは既に、G20財務相・中央銀行総裁会議の場でこの取り組み強化を議論する機会を設けており、今後具体的な行動に向けた話し合いを行いたい意向。次回のG20財務相・中央銀行総裁会議は7月半ばに開催予定だ。
南ア準備銀行(中央銀行)のクガニャゴ総裁は2月、アフリカ経済を機能させるためには自国通貨で貿易・決済を始めることが大事だと強調した。
しかし問題は、貿易ないし準備通貨としてドルから距離を置こうとするような動きにトランプ氏が猛反発していることだ。
主要新興国BRICSがドル依存を減らし、共通通貨創設を検討すると表明した後、トランプ氏は100%の関税発動を示唆。1月に自身のSNSで「BRICSが国際貿易、あるいは別のいかなる分野でもドルに取って代わるチャンスはゼロだ。そういう試みする国は関税と出会い、米国と決別しなければならない」と主張した。
シラキュース大学のマクドウェル教授は、自国通貨決済の利用拡大の意図が実際に何であろうと、アフリカは中国やロシアのような政治的動機による脱ドル化と差別化を図るのに苦戦しそうだと予想。「それは地政学絡みだと思われてしまう公算が大きい」と付け加えた。


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