最新記事
日本経済

日米株式市場「トリプルパンチ」で下値メド読めず...年度替わり要因も

2025年3月31日(月)21時09分

ナスダック総合は、3月前半につけた前回安値に接近している。「これを下抜けるとチャートの節目が見当たらず、調整局面から下落相場への移行の瀬戸際にあるといえる」(窪田氏)という。


 

年度替わり、かく乱に拍車か

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「米高関税、スタグフレーション懸念を口実として、本質的に米国株の投資家はバリュエーション調整をしたいのだろう」と指摘する。日本株はつれ安した形となっている。

その米国株には、調整リスクがなお付きまとっている。S&P500は、株式と債券の利回りの差を映すイールド・スプレッドがマイナス圏にあった年末年始ごろに比べると、足元ではプラス0.6%程度と割高なバリュエーションはやや緩和してきている。ただ、前年8月の急落時にはイールド・スプレッドが1%程度に上昇した経緯があり、この水準までのバリュエーション調整を見込むとすれば、S&P500はさらに7─8%程度の下げ余地があるとみることも可能だ。

ニッセイ基礎研の井出氏は、足元の不透明感を踏まえると、S&Pの調整はこれにとどまらないリスクもあるとの見方を示す。「(前年8月の)当時には、米連邦準備理事会(FRB)による利下げの株安抑止効果への期待があったが、今は利下げの思惑は後退している」ためだ。先行き、トランプ政策の影響で米国の実体経済の悪化が確認される場合「2けた%の調整は避けられないだろう」(井出氏)という。

複数のリスク要因が浮上する中、今週は日本株にとって年度替わりの週に当たることも、相場のかく乱要因になっていそうだ。

31日は、前週末の米株安につれ安した日本株の方が、下落率が大きかった。岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部部長は「この数年、月末月初、期末期初は需給面の波乱がみられる。こうした要因も、株価が過剰に動いた背景にあるのではないか」と指摘する。

一方、期初には、機関投資家による益出しの売りも見込まれるという。米国の相互関税の発表や自動車関税の発動に加え、週末には米雇用統計の発表も控えている。「今週いっぱいは、腰の入った買いは期待しにくい」と、岩井コスモの有沢氏は話している。

(平田紀之 編集:橋本浩)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独失業者数、11月は前月比1000人増 予想下回る

ビジネス

ユーロ圏の消費者インフレ期待、総じて安定 ECB調

ビジネス

アングル:日銀利上げ、織り込み進めば株価影響は限定

ワールド

プーチン氏、来月4─5日にインド訪問へ モディ首相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中