最新記事
中国経済

中国経済の後退を止めるには、信頼回復という構造改革が必要だ

CHINA’S ECONOMY IN 2025

2024年12月16日(月)11時09分
黄益平(ホアン・イーピン、北京大学国家発展研究院院長)

潘も藍も、刺激策をさらに準備していることを示唆している。早い周期で経済情勢を測るハイフリークエンシー経済指標の動きを見ると、政府の措置はほぼ即座に効果を発揮したようだ。

10月の社会融資総量(実体経済への融資総額)は前年同月比7.8%増、銀行融資残高は同7.7%増。小売売上高は前年同月比4.8%増、前月比1.6ポイント増となった。同じ10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、好調・不調の境目である50を6カ月ぶりに上回って50.1に達し、11月には50.3に上昇した。


しかし、2025年の見通しはそれほど明確ではない。中国が2025年にGDP成長率5%を達成するには、3つの重要な課題を克服しなくてはならない。まず、GDP成長率の約20%と家計資産の約70%を占める不動産セクターの安定化だ。

第2の課題は、地方自治体の財務状況だ。このところ地方は財政難のため、公務員の給与削減などで支出を削減したり、法人税の未納分を徴収したりして収入を確保しようとしている。根本的な問題は、債務が収入を上回っていることだ。中央政府は、早急に多額の一般歳入を地方に移転しなければならない。

第3の課題は、トランプ次期米大統領が中国からの全輸入品に60%の関税を課すと公約していることだ。

対米輸出は中国のGDPの3%を占めているため、重い関税は25年の経済成長に重大な影響を及ぼすだろう。例えばUBSインベストメント・バンクは、2025年の中国のGDP成長率は4%まで鈍化すると予測している。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 6
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中