最新記事
日本市場

日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビディア不発で

2024年11月22日(金)18時35分
都内の株価ボード

11月22日、 年末ラリーの火付け役として期待された米半導体大手エヌビディアの決算は、調整ムードに覆われる日本株にとっても刺激材料とまではならなかった。都内の株価ボード前で2月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

年末ラリーの火付け役として期待された米半導体大手エヌビディアの決算は、調整ムードに覆われる日本株にとっても刺激材料とまではならなかった。人事構想を受けて強まるトランプ米次期政権への警戒感や、国内企業の振るわなかった中間決算の結果を吹き飛ばすほどの買い手掛かりは現在、見当たらない状況だ。

こうした中、需給面の好転が年末高の「起爆剤」になると期待を寄せる声が浮上している。8兆円を超える中間配当を受けた投資家による再投資だ。ただ、投資環境が不透明なため、どの程度、活発化するかは読みにくく、当面はレンジ内での値動きになりそうだとの声も多い。


 

「年末に向けて株高を想定していたが、あやしくなってきた」と、りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャーは話す。企業の中間決算は事前の想定ほど強くなかった上、トランプ次期政権への思惑に基づく織り込みは短期間で一巡する中で「エヌビディアの決算で盛り上がるとのシナリオが、強気派にとって最後のよりどころだったろう」という。

一方、日本株の需給面から年末高の端緒を探る声がある。日本企業の中間配当金の支払いが、これから本格化してくるためだ。

フィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッドは「すべての配当金が株式に再投資されるとは限らないが、毎年12月初旬にかけての相場の押し上げ要因として意識されやすい」と話す。

増沢氏の試算によると、今年の中間決算での配当支払い額は約8.2兆円で、このうち5.6兆円が12月第1週に集中する。指数連動型のパッシブ運用を行う機関投資家は9月末の配当落ちのタイミングで未収配当金分約1.2兆円の先物を買うことですでに配当再投資を済ませている。焦点となるのは、それ以外の個人やアクティブ投資家の動きだ。

配当支払いのピーク週の前の週末にあたる29日には、米国で小売店がセールを実施する「ブラック・フライデー」があり、週明け12月2日はEC(電子商取引)サイトでのセール「サイバー・マンデー」がある。これらセールの売り上げが堅調と伝わる中で配当支払いのピークを迎えるなら「日の並びが良いこともあって、株高に弾みがつくかもしれない」(増沢氏)という。

再投資は、投資家が配当を受けた銘柄に実施するケースが多いとみられている。再投資の動きが広がれば、相対的に配当金の多いバリュー株がグロース株に対して優位になる局面とみられている。

経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍、ポクロフスクの一部を支配 一部からは

ビジネス

インタビュー:日銀利上げ、円安とインフレの悪循環回

ビジネス

JPモルガン、26年通期経費が1050億ドルに増加

ワールド

ゼレンスキー氏、大統領選実施の用意表明 安全確保な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中