最新記事
BOOKS

オードリー・タンは生活にも「/」を入れる...「スラッシュワーカー」になる方法、超える方法

2024年11月15日(金)11時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

オードリーがスペインのNGOに参加しているのは、EUやOECDとのつながりがあるからだ。台湾はこれらの組織の会員ではないため、「行政院のデジタル発展相」という立場では活動に関わることができない。しかし、NGOのメンバーという立場でなら参加できる。これは最大のメリットだ。

本業の仕事がすっかり嫌になって、ある日突然行方をくらましたり、世界一周の旅に出てしまったりする人がいる。だが、長い間カゴのなかに閉じ込められていて、急に扉が開いたらどうなるか。たいていの人は世界の広さに驚き、どこへ行くべきか見当もつかない。世界一周の旅に出たとしても、帰ってきたあと、次の一歩の踏みだし方がわからない。

こんなとき、本業以外のコミュニティで作り上げた人脈があれば、休職しようと退職して旅に出ようと、自分を受け入れてくれる場所は必ずあると信じられる。行くところがあると思えば、迷って呆然とすることもない。

趣味の追求や人脈の拡大のために20パーセントの時間を確保していれば、仕事を辞めたとき、それが60パーセントに増えたり、次の仕事につながったりすることもありえる。これまでの仕事の価値が損なわれるわけではなく、同じ価値を生むために進む方向が少し変わっただけなのだ。


オードリー・タン 私はこう思考する
オードリー・タン 私はこう思考する
 オードリー・タン [語り]
 楊倩蓉[取材・執筆]
 藤原由希[翻訳]
 かんき出版

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

オードリー・タン
元台湾デジタル担当政務委員(閣僚)。台湾初のデジタル大臣、台湾の無任所大使である。1981年、台湾台北市生まれ。幼少時から独学でプログラミングを学習。14歳で中学校を自主退学、プログラマーとしてスタートアップ企業数社を設立。19歳のとき、シリコンバレーでソフトウエア会社を起業する。2005年、プログラミング言語Perl6開発への貢献で世界から注目を浴びる。トランスジェンダーであることを公表。2014年、米アップルでデジタル顧問に就任、Siriなどの人工知能プロジェクトに加わる。その後、ビジネスの世界から引退。蔡英文政権において、35歳の史上最年少で行政院(内閣)に入閣、デジタル政務委員に登用され、部門を超えて行政や政治のデジタル化を主導する役割を担った。2019年、アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』のグローバル思想家100人に選出。台湾の新型コロナウイルス対応では、マスク在庫管理システムを構築、感染拡大防止に大きく寄与した。

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イランの体制崩壊も視野 「脅威取り除

ワールド

トランプ氏、イスラエルとイランの停戦合意を期待

ビジネス

仏ルノーCEOが退任へ、グッチ所有企業のトップに

ワールド

トランプ氏の昨年資産報告書、暗号資産などで6億ドル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中