最新記事
モルドバ

モルドバ大統領選、現職が僅差で再選 「親欧米路線に支持」

2024年11月5日(火)10時36分
再選された親欧米のサンドゥ大統領

旧ソ連のモルドバで3日に行われた大統領選の決選投票は、親欧米の現職サンドゥ大統領(写真)が親ロシア派政党の支持を受けたストヤノグロ元検事総長との接戦を制し、再選を果たした。キシナウで撮影(2024年 ロイター/Vladislav Culiomza)

旧ソ連のモルドバで3日に行われた大統領選の決選投票は、親欧米の現職サンドゥ大統領が親ロシア派政党の支持を受けたストヤノグロ元検事総長との接戦を僅差で制し、再選を果たした。

選挙管理委員会によると、サンドゥ氏の得票率は55.33%。在外投票での強い支持が勝利に寄与した。国内得票では僅差でストヤノグロ氏を下回った。

サンドゥ氏は勝利宣言し、「全ての人のための大統領になる」と述べた。

サンドゥ氏の支持者らは今回の勝利について、欧州連合(EU)加盟に向けた動きを加速させるなど同氏が進めてきた親欧米路線が支持されたとみている。ただ、ストヤノグロ氏の善戦はサンドゥ氏の与党が来年夏の議会選で厳しい戦いを強いられることを示唆している。

今回の選挙では、大規模な有権者買収や選挙妨害などロシアによる選挙介入疑惑も浮上した。ロシアはこれを否定しているが、モルドバ情勢に関する分析・研究を行うキシナウ拠点のNGO「ウォッチドッグ」のヴァレリウ・パシャ代表は、今回の選挙はモルドバが依然として外部からの干渉に対して「非常に脆弱」であることを示したと述べた。

1991年のソ連崩壊以降、親ロシアと親欧米の間で揺れてきたモルドバの将来は、2022年に隣国ウクライナにロシアが軍事侵攻して以降、注目が集まっている。

また、EU加盟を目指す別の旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)で先月、親ロシアの与党が勝利したこともあり、欧州ではモルドバの選挙に注目が集まっていた。

サンドゥ氏の勝利にEUはひとまず安堵(あんど)した形となった。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中