最新記事

大型リストラ

相次ぐ大型リストラ、9万人もの「テック人材」がクビに 雇用の受け皿は?

GRIM TIMES FOR TECHIES

2022年12月15日(木)14時25分
ニティシュ・パーワ(スレート誌ライター)

待遇の悪化は、福利厚生の面だけにとどまらない。ツイッターを解雇されたエンジニアの1人がサンフランシスコ・クロニクル紙に語ったところによると、その人物はいくつもの企業から声を掛けられたが、「フルタイムの社員として採用するという会社は20%ほどにすぎなかった。それ以外の会社は、フルタイムの社員より整理しやすい契約社員しか採用するつもりがなかった」と言う。

こうした状況は、キャリア・コンサルタントのジェシカ・B・デービスも感じている。「転職が難しくなっている。昔は、会社を辞めて次の会社に移ることができたけれど、最近は制約が増えている」

業界内の格差も見過ごせない。同じ業界で働いていても、一部の人たちはほかの人たちに比べて、ことのほか厳しい状況に置かれているのだ。

「『テック・ワーカー』とひとくくりにされているために見えにくいが、この業界にはさまざまな面で非常に立場が弱い人たちがいる」と、メーゾは指摘する。「契約社員は給料が安く、投稿のモニタリングやカスタマーサービスの仕事をしている人は、ソフトウエア・エンジニアに比べて給料が4分の1程度の場合もある」

雇用の受け皿はどこにある?

テック業界で職を失った大勢の働き手たちは、どこへ向かうのか。巨大テック企業以外がその受け皿になる場合もありそうだ。

サンフランシスコのあるベンチャーキャピタルは、そのような人たちの起業を支援する取り組みを始めている。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院は、最近テック大手を解雇された人たちがMBAプログラムに出願する際に、標準テストを免除することにした。

この種の人材の採用に前向きな業界もある。例えば、需要の拡大と政府の資金拠出により好況に沸くグリーンテック分野の企業は、テック大手を解雇された高スキルの人材を雇うことにとりわけ熱心だという。

テック関連の人材への需要が急速に高まりそうな業界はほかにもある。ロジスティクスおよびサプライチェーン、医療、サイバーセキュリティー・インフラ、データ分析、宿泊・旅行、そして旧来の情報テクノロジー関連の企業などがそうだ。

これらの職は「テック業界の雇用」には分類されない場合が多いし、テック大手に比べれば給料や手当は少ないかもしれない。しかし、ソフトウエアとハードウエアのメンテナンス、自社アプリの開発、顧客が用いるプログラムの構築など、テック関連のスキルが役に立つ仕事だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

対ロ制裁は効果ない、ウクライナ戦争で方針変えず=ク

ワールド

KCN3KP0W3

ワールド

エルサレム郊外のバス停で銃撃、6人死亡 「テロ」攻

ワールド

ユーロ圏投資家心理、9月は予想外の大幅悪化 4月以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給与は「最低賃金の3分の1」以下、未払いも
  • 4
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 5
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 6
    コスプレを生んだ日本と海外の文化相互作用
  • 7
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 8
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 9
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 10
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 10
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中