最新記事

株式

東証プライム、新指数のリアルタイム更新なしで戸惑う投資家 改革は道半ば

2022年4月12日(火)18時52分
東京証券取引所

東京証券取引所の60年ぶりとなる市場再編後も、日本株は盛り上がりを欠いている。写真は2020年10月撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

東京証券取引所の60年ぶりとなる市場再編後も、日本株は盛り上がりを欠いている。投資家の不満の1つは東証プライム市場指数など新たに導入された指数のデータがリアルタイムで更新されないことだ。日中の動きが把握できないだけでなく、インデックスファンドや先物の組成も難しく、「今のままでは使いにくい」(国内運用会社)との声が出ている。

再編初日、午後4時までデータ配信されず

東証が市場区分の再編を実施した4日、ある国内証券会社では「なぜ動かないんだ。コンピューターが壊れているのか」と、社内がざわめく場面があった。東証が新たに設けたプライム市場指数、スタンダード市場指数、グロース市場指数のデータが表示されなかったためだ。初めてデータが表示されたのは午後4時だった。

実は、新指数はTOPIXなどと異なり、数値算出を毎営業日午後4時の1回きりとする「バッチ」型の指数で、取引時間中のリアルタイムでの値動きは配信しないことが決まっていた。

これが市場には十分に周知されておらず、戸惑いが広がった。注目する投資家も多かっただけに、マーケットからは「東証は新指数を普及させる気があるのだろうか」(別の国内証券)と、いぶかる声も漏れた。

1日1回の配信の方針には、市場区分の再編を扱った金融庁の金融審議会での議論が反映されている。特定の市場区分と指数の構成銘柄が連動している場合、インデックスファンドなどを通じて、時価総額や流動性の低い銘柄に資金が流れ、価格形成に歪みが生じかねないとの弊害が指摘された。一方、指数には市場全体の動向を示す機能もある。この目的のために、1日1回の配信なら問題ないとの判断で落ち着いた。

ただ、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「リアルタイムで更新しないから問題ないという整理であれば、本末転倒だろう」と指摘する。新指数はTOPIXと同様に銘柄が多すぎることが問題の本質だとの見方だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調

ビジネス

米フォード、4月の米国販売は16%増 EVは急減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中