最新記事

自動車

テスラ、コロナ禍のサプライチェーン混乱でライバルを引き離した「秘密」とは

2022年1月8日(土)12時25分
上海にある工場で生産されるテスラ車

米テスラは部品内製化率が高いため、製造工程における臨機応変の軌道修正が可能で、他の自動車メーカーにとって打撃が大きかったサプライチェーンの混乱を巡る問題にうまく対処できた――。複数の関係者や専門家はこう話す。写真は2020年1月、上海にあるテスラの工場で撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

米電気自動車(EV)大手・テスラは部品内製化率が高いため、製造工程における臨機応変の軌道修正が可能で、他の自動車メーカーにとって打撃が大きかったサプライチェーン(供給網)の混乱を巡る問題にうまく対処できた――。複数の関係者や専門家はこう話す。

2021年のテスラの納車台数は、87%伸びて過去最高を記録した。

同社が供給網に関するさまざまな課題を切り抜けてきた幾つかの方法は、以下の通りだ。

世界的な半導体不足への対策

テスラは一部の顧客に対して、ブルートゥースやUSBポートなどの部品を付けずに納車する可能性があると通知した。また、レーダーセンサーや前部座席のランバーサポートといったいくつかの装備を省き、製造工程を簡素化した。同社は、ロイターのコメント要請に応じていない。

同社は、増大するコストを吸収するための値上げも実施した。米国の消費者は「モデルY」を発注した場合、納車まで7カ月間待たされ、昨年中に価格は18%上昇した。

マスク最高経営責任者(CEO)は、テスラが供給の不足している半導体の一部について代替製品を充当できたと述べた。フォルクスワーゲン(VW)のディースCEOは、テスラが新型チップをサポートするソフトウエアをわずか2─3週間で書き換えられる能力は素晴らしいと称賛している。

他社との違い

テスラは多数のライバルより多くのハードウエアを設計し、ソフトウエアを作成している半面、他のメーカーはこれらをサプライヤーに依存している。

マスク氏は、自社について「他の自動車企業と比べ、途方もないほど垂直統合が進んでいる」と胸を張る。

「われわれは自分たちで基板を設計するので、パワーチップなど代替品を受け入れる形にすぐに設計変更ができる」と、テスラ関係者の1人は話した。

社内のエンジニアらは、マスク氏が「車輪上のコンピューター」と呼ぶテスラ車を動かす複雑なソフトの大部分を設計している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウ代表団、今週会合 和平の枠組み取りまとめ=ゼレ

ビジネス

ECB、利下げ巡る議論は時期尚早=ラトビア中銀総裁

ワールド

香港大規模火災の死者83人に、鎮火は28日夜の見通

ワールド

プーチン氏、和平案「合意の基礎に」 ウ軍撤退なけれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中