最新記事

労働

世界で導入が進む「週休3日制」 コロナ禍が後押しするサステイナブルな労働

2021年8月15日(日)18時10分
ロックダウン中のマドリード・アトーチャ駅

旅行からハイテクまでさまざまな業界で週休3日制を導入する企業が世界的に増えている。写真は2020年3月、ロックダウン中のマドリード・アトーチャ駅で撮影(2021年 ロイター/Sergio Perez)

旅行からハイテクまでさまざまな業界で週休3日制を導入する企業が世界的に増えている。新型コロナウイルスのパンデミックで労働者の働き方が変わる中で、企業が人手確保のために採用を進めているためだ。

労働時間を減らすと生産性が上がるという「北欧モデル」を巡る議論は以前からあるが、コロナ禍では企業ばかりか公的部門や政治家からも支持が高まった。

人材派遣大手アデコのクリストフ・カトワール社長によると、小売業や接待業などの企業は、経済がコロナ禍から回復して人材の確保やつなぎ止めに苦慮しており、多くが週当たりの労働時間を短くしている。

「(コロナ)危機を経て、人々は自分たちの労働条件が必ずしも最良ではなかったことに気付き始めている。今では私的な生活を犠牲にしたくないと考えるようになった」と言う。

コロナ禍が引き起こした変化が定着するかどうかについては懐疑的な見方が広がっているが、スペインの通信大手テレフォニカは国内の従業員の最大10%を対象に週休3日制を試行している。

事情に詳しい関係者によると、参加者が多く、生産性が維持されれば、対象者は当初の1万5000人から拡大される可能性がある。

テレフォニカの試験的取り組みでは参加者の給与が15%削られるが、別の国では労働時間を短縮しつつ全額支払う企業もある。

自由な時間

今年導入された労働時間短縮制度の多くではコストが発生しないことが明らかになっている。しかしアイスランドの国営メディアRUVによると、同国政府は、特にヘルスケア部門の人員を増やすために、年間で3360万ドルの予算を計上した。

スペインのビジネススクール、ESADEのエコノミスト、カルロス・ヴィクトリア氏は「仕事の流れを見直して労働時間を短縮することが容易な分野もあれば、労働時間を減らすと生産が減る分野もある」と指摘。「少なくとも短期的には(週休3日制を)労働慣行の未来像だとするのは早計だ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、インド関税「大幅に」引き上げへ ロシア

ビジネス

テスラ、7月のドイツ販売が半減 BYDは5倍に

ワールド

プーチン氏、米国の停戦通告に応じる可能性低い 4州

ビジネス

米EU貿易合意は「良い保険」、 混乱続くと予想=E
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 5
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 6
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「原子力事…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 5
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 6
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中