最新記事

BOOKS

福岡市長が、「福岡市から日本を変える」ことにこだわる合理的な理由

2021年7月28日(水)18時31分
flier編集部
地図上の福岡市

dk_photos-iStock

<福岡市の高島宗一郎市長は、なぜ福岡市での改革が「日本を変える」近道になると考えているのか。挑戦の核心と展望を聞く>

※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

史上最年少36歳で福岡市長に就任し、福岡市という現場で10年もの間、改革をリードしてきた高島宗一郎市長。福岡市の改革の実績をベースに日本を最速で変える方法を提示し、チャレンジャーたちの背中を押すのが新著『日本を最速で変える方法』(日経BP)です。

福岡市は、国に先駆けてハンコレスを実現するなど「データ連携」を進め、スタートアップ支援、感染症×少子高齢化時代を見据えた福岡式街づくりなど、新たな挑戦を続けています。そんな福岡市を率いる高島市長が、いま本書を執筆した理由とは何なのか。新しいビジネスを社会実装させ、日本を変えていくために何が必要なのかをお聞きしました。(インタビューは7月上旬に実施)

若い人が「希望」をもてる社会にしたい

── 『日本を最速で変える方法』の執筆動機は何でしたか。

7月23日からオリンピック・パラリンピックが始まります。選手のみなさんにはぜひ頑張ってほしいと思いますが、残念ながら今回のオリンピックは、常々いわれていた「コロナに打ち勝った証」にはできなかったと、多くの国民は感じているのではないでしょうか。

その原因を「総理のせい」「大臣のせい」と、個人に押しつけるだけでは、この経験は何も活きません。ボトルネックを見極めることこそが、オリンピックのレガシーになると考えています。

唐突にオリンピックの話をしましたが、これこそが、まさに執筆の動機につながる問題意識です。この1年半のコロナ期間中、国民はずっともやもやしてきました。けれど、そのもやもやの本質が見えないから、社会で起きていることを自分が理解できるようにしか理解していない。結果として、個人を批判して溜飲を下げて終わり。

これでは、いつになってもこの国は良くならないと気づきました。日本を希望のもてる国にするためにどうすべきか――。私自身が考えたことや実践してきたことを共有し、人々の行動が変わるきっかけになればと筆をとりました。

コロナ禍という有事にもかかわらず、給付金送付にしてもワクチン接種にしても、平時の延長でしか対応できず、スピードの遅さが浮き彫りになりました。なぜ日本は有事に直面しても変化しにくいのか? なぜ挑戦しないのか? ゼロリスクを求めるのか? そうした本質的な課題を突きつけられる日々でした。

特にもどかしさを感じているのは、若い人たちから希望がなくなっていることです。少子高齢化が進んだ結果、若者は、自分たちの意見を国のあり方に反映させていくという点で、構造的に弱者の立場に立たされています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン氏、ウ和平交渉で立場見直し示唆 トランプ氏

ワールド

ロ、ウ軍のプーチン氏公邸攻撃試みを非難 ゼレンスキ

ワールド

中国のデジタル人民元、26年から利子付きに 国営放

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、11月は3.3%上昇 約3年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中