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日中韓など15カ国がRCEP署名 世界経済3割をカバーする最大の自由貿易圏が誕生

2020年11月16日(月)10時10分

日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。写真は首脳会合の会場(2020年 ロイター/Kham)

日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。世界最大の自由貿易圏が誕生する。

署名したのは日中韓とASEAN10カ国のほか、オーストラリア、ニュージーランドの合わせて15カ国。米国は参加していない。インドは昨年11月に交渉から離脱したが、ASEANは、復帰への扉は開かれているとしている。

RCEP協定は向こう数年間に、多くの分野で関税の段階的な引き下げを目指す。議長国ベトナムは、RCEPは世界経済の30%、世界の人口の30%に相当し、22億人の消費者をカバーすると強調した。

ベトナム商工省の高官は、RCEPは「工業製品や農産物の関税の引き下げもしくは撤廃、データ送信に関するルール策定につながる」と説明した。

米政府がアジアにどの程度関与する意向なのか不透明な中、今回のRCEP協定署名により、東南アジアや日韓の経済パートナーとしての中国の地位がさらに強化されるとみられる。中国が今後、域内の通商ルール形成を主導する可能性もある。

中国財政省は、新たな協定は域内の関税を直ちに、または10年かけて撤廃することなどを確約していると説明した。ただ、どの製品が対象になるかなど詳細は明らかにしていない。

また、「中国と日本は初めて2国間の関税引き下げ協定に合意した。歴史的な達成だ」と評価した。

中国、日本、韓国が同一の自由貿易協定に参加するのは今回が初めてとなる。

一方、アナリストは米国の参加について、米大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏は国内の新型コロナウイルス感染への対応を優先課題とする必要があるため、すぐにRCEPに参加する可能性は低いと指摘する。

[ロイター]


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