最新記事

景気

日本経済大幅に悪化 日銀短観が示した中国依存浮き彫りに

2020年4月1日(水)16時35分

日銀が発表した3月短観の景況感悪化は、新型コロナウイルスの感染拡大による中国の生産への打撃やインバウンド客の激減が主因となった。写真は3月14日、大阪市の道頓堀で撮影(2020年 ロイター/Edgard Garrido)

日銀が発表した3月短観の景況感悪化は、新型コロナウイルスの感染拡大による中国の生産への打撃やインバウンド客の激減が主因となった。日本経済の中国依存度の高さが浮き彫りとなり、政府は危機感を強めているが、企業の視点からみると、サプライチェーンの見直しはなかなか進みそうにない。

中国悪化の影響色濃く、現状の実態はさらに悪化

今回の短観は、予想通り景況感(DI)が大幅悪化となった。大企業製造業では13年3月調査以来のマイナス転換となり、非製造業も同じく13年3月以来の低水準に落ち込んだ。

鉄鋼では景況感が13ポイント悪化、生産用機械では15ポイント悪化するなど、中国での需要悪化が直撃した業種では軒並み2ケタの悪化幅となった。宿泊・飲食サービスは70ポイントの悪化となり、中国人観光客の激減を物語る。日本経済の中国依存が大きく表れたかたちだ。

ただ、実際には、景況感も事業計画の悪化も事前予測よりマイルドなものにとどまった。

これは、調査回答の基準日が3月11日で、それまでに7割が回答していたことにもよる。その後の欧米での感染急拡大や月末にかけての東京でのロックダウンへの警戒など、「現状での企業環境悪化が十分反映しきれていない」(野村証券の三輪卓チーフエコノミスト)とみられいてる。大和総研シニアエコノミスト、小林俊介氏も「事業環境の不透明感が強すぎて、従来から予定していた投資や売り上げ見通しを修正するに至らなかったようだ」とみている。

日銀調査統計局も同様に「設備投資は堅調だが、新型コロナウイルスの影響がどこまで織り込まれているか、6月短観も併せて見ていく必要がある」(永幡崇・経済統計課長)と指摘している。

現時点あるいは今後も含めて企業への打撃は一段と大きくなっていく可能性が否定できない状況だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中